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- 【1月米雇用統計】賃金上昇率は予想外に低下も、大幅な雇用増加、労働参加率の改善と好調な結果。
2017年02月06日
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1.結果の概要:雇用者増加数は16年9月以来の20万人超に加速
2月3日、米国労働省(BLS)は1月の雇用統計を公表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で22.7万人の増加1(前月改定値:+15.7万人)となり、前月から伸びが大幅に加速、市場予想の+18.0万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も上回った。雇用増加数が20万人超となるのは、16年9月(+24.9万人)以来(後掲図表2参照)。
失業率は4.8%(前月:4.7%、市場予想:4.7%)とこちらは前月、市場予想を上回った(後掲図表6参照)。一方、労働参加率2は62.9%(前月:62.7%)と、こちらは前月から2ヵ月連続で改善した(後掲図表5参照)。
1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
失業率は4.8%(前月:4.7%、市場予想:4.7%)とこちらは前月、市場予想を上回った(後掲図表6参照)。一方、労働参加率2は62.9%(前月:62.7%)と、こちらは前月から2ヵ月連続で改善した(後掲図表5参照)。
1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
2.結果の評価:賃金上昇率は予想外に低下も、労働需給の改善は持続と判断
1月の非農業部門雇用者数は、10-12月期の月間平均増加数14.8万人増や16年平均の同18.7万人増から大幅に加速しており、17年は年初から良いスタートを切ったと言える。もっとも、労働市場が完全雇用に近づく中で、雇用増加数が今後も20万人超を維持するのは難しく、10万人台半ばから後半での推移となろう。
家計調査は、失業率が2ヵ月連続で上昇したものの、労働参加率が改善しており、先月のレポートでも指摘した通り、労働需給の悪化を必ずしも意味しない。
家計調査は、失業率が2ヵ月連続で上昇したものの、労働参加率が改善しており、先月のレポートでも指摘した通り、労働需給の悪化を必ずしも意味しない。

このようにみると、1月の雇用統計は、賃金上昇率は期待外れの結果に終わったものの、雇用増加ペースの加速や、労働参加率の改善など、労働需給の改善は持続していると判断できる。
トランプ大統領は経済政策の目標として製造業の国内回帰を含めた大幅な雇用増加を掲げている。労働市場が完全雇用に近づく中で、雇用増加が賃金上昇に波及し易くなっていることから、トランプ氏が目指す雇用増加が実現する場合には、賃金上昇率は再び加速しよう。
3.事業所調査の詳細:広範な業種で雇用が増加

サービス部門の中では、医療サービスが前月比+1.8万人(前月:+4.0万人)と前月から伸びが鈍化したものの、人材派遣業が+1.5万人(前月:▲1.3万人)と増加したことから、専門・ビジネスサービスは+3.9万人(前月:+3.2万人)と伸び加速した。さらに、小売業も+4.6万人(前月:+3.4万人)と前月から伸びが加速した。
財生産部門は、前月比+4.5万人(前月:+1.5万人)と前月から伸びが加速した。製造業が+0.5万人(前月:+1.1万人)と2ヵ月連続で増加したほか、建設業が+3.6万人(前月:+0.2万人)と、前月から伸びが加速した。
政府部門は、前月比▲1.0万人(前月:▲0.8万人)とこちらは4ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、連邦政府が+0.4万人(前月:+0.5万人)と前月から伸びが鈍化したほか、州・地方政府が▲1.4万人(前月:▲1.3万人)と前月からマイナス幅が拡大した。
前月(12月)と前々月(11月)の雇用増(改定値)は、前月が+15.7万人(改定前:+15.6万人)と+0.1万人上方修正された一方、前々月が+16.4万人(改定前:+20.4万人)とこちらは▲4.0万人下方修正された。この結果、2ヵ月合計の修正幅は▲3.9万人の下方修正となった(図表3)。また、今月は昨年の年次改定値も発表され、昨年の雇用増加数が月平均で+0.7万人上方修正された(図表3)。
なお、BLSの公表に先立って2月1日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増が前月比+24.6万人(前月改定値:+15.1万人、市場予想:+16.8万人)と、前月、市場予想を大幅に上回っており、1月の雇用統計と整合的な結果となった。
1月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が26.00ドル(前月:25.97ドル)となり、前月から+3セント増加した。一方、週当たり労働時間は34.4時間(前月:34.4時間)とこちらは前月から横這いとなった。その結果、週当たり賃金は894.40ドル(前月:893.37ドル)と前月から増加した(図表4)。
なお、BLSの公表に先立って2月1日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増が前月比+24.6万人(前月改定値:+15.1万人、市場予想:+16.8万人)と、前月、市場予想を大幅に上回っており、1月の雇用統計と整合的な結果となった。
1月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が26.00ドル(前月:25.97ドル)となり、前月から+3セント増加した。一方、週当たり労働時間は34.4時間(前月:34.4時間)とこちらは前月から横這いとなった。その結果、週当たり賃金は894.40ドル(前月:893.37ドル)と前月から増加した(図表4)。
(2017年02月06日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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