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コラム
2016年12月08日
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ポイントは「使いやすさ」と「パフォーマンス」
では現在、銀行、証券、運用会社といった様々な金融機関からロボ・アドバイザーは提供されていますが、自分にあったロボ・アドバイザーを選ぶにはどうすればよいでしょうか。ロボ・アドバイザー選びは「使いやすさ」と「パフォーマンス」の2つの軸で考えると良いと考えています。なお、ここでいう「パフォーマンス」とは、コストを控除した後の投資家が実際に享受できるリターンです。
「使いやすさ」はどうやって運用するかの確認を
アドバイスのみの場合①は、無料の情報提供サービスとなります。そのため、自分で複数の投資信託やETFを購入し、管理していく必要があります。手間もかかる上に、よほどサポートが万全でないと実際に運用を始めるにはハードルが高いではないでしょうか。その一方で、お任せの場合③、契約を結んでしまえばお任せで勝手に運用してくれ、資産運用初心者でも気軽に始めることができます。その分、手数料が必要となります。
②は投資信託を自分で購入する必要があるものの、買う投資信託がはっきり分かっており、購入する投資信託は一つで済みます。また管理も基本的に運用会社がやってくれますので、①と比べると手間がかかりません。また、③と比べると手数料も安くなっており、①と③の中間のサービスといえます。欠点としては、準備されている投資信託の数に限りがあり、①や③と比べて提案されるポートフォリオ案が少ないと思われます。投資家のきめ細かいニーズを組みとることは不向きかもしれません。
②は投資信託を自分で購入する必要があるものの、買う投資信託がはっきり分かっており、購入する投資信託は一つで済みます。また管理も基本的に運用会社がやってくれますので、①と比べると手間がかかりません。また、③と比べると手数料も安くなっており、①と③の中間のサービスといえます。欠点としては、準備されている投資信託の数に限りがあり、①や③と比べて提案されるポートフォリオ案が少ないと思われます。投資家のきめ細かいニーズを組みとることは不向きかもしれません。
「パフォーマンス」は手数料以外、評価しにくい
「使いやすさ」と並んで重要となるのは、やはり運用のうまさを表す「パフォーマンス」でしょう。ただし、「パフォーマンス」は定性的に評価するのが困難です。
たとえば組入れ資産数が多ければ、資産が分散された良いポートフォリオに見えるかも知れません。しかし、似たような値動きをする(相関が高い)資産ばかり組み込まれていた場合、期待したほど分散効果が得られない可能性があります。そのため、組入れ資産数を比べるだけでは、あまり意味がありません。また、信託報酬が安い海外上場ETFを使ってポートフォリオを構築しているから良いというわけでもないと思います。全体の費用で考える必要があるためです。どれだけ信託報酬が安いETFを使ってもそれ以外の手数料が高ければ、利用者が支払うトータルのコストは大きくなります。
「パフォーマンス」は提案されたポートフォリオの情報だけでなく、過去に提供されていたポートフォリオがその後どの程度、実際にパフォーマンスをあげていたかも合わせて参考にするべきです。過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを保障してくれるわけではありません。しかし、どんなに優れた運用を謳っていても、それに見合うパフォーマンスを過去に上げていない場合には鵜呑みにできません。機関投資家だと、実績のパフォーマンスが3年に満たない場合は評価できないとして、門前払いしてしまうケースもあります。
しかし、ロボ・アドバイザーの過去のアドバイザーとしての成績を見ることは極めて困難です。ロボ・アドバイザーのサービスが始まってから日が浅く、長期の実績データが存在しないためです。加えて、①や③の場合には運用開始前の実際のパフォーマンスを知ることも容易ではありません。代わりにシミュレーション結果が提供されるかも知れませんが、シミュレーション期間のデータも参考にしたうえでポートフォリオを構築しており、実績のパフォーマンスとは分けて考える必要があります。
そのため、②や③の場合は、単純に手数料を重視するのも一つだと筆者は考えています。確実に引かれる手数料は、将来のパフォーマンスについて評価できる唯一の手がかりだからです。投資期間が長くなれば長くなるほど、支払う手数料は大きくなってしまうため、腰をすえて投資しようと考えるならばなおのことです。
たとえば組入れ資産数が多ければ、資産が分散された良いポートフォリオに見えるかも知れません。しかし、似たような値動きをする(相関が高い)資産ばかり組み込まれていた場合、期待したほど分散効果が得られない可能性があります。そのため、組入れ資産数を比べるだけでは、あまり意味がありません。また、信託報酬が安い海外上場ETFを使ってポートフォリオを構築しているから良いというわけでもないと思います。全体の費用で考える必要があるためです。どれだけ信託報酬が安いETFを使ってもそれ以外の手数料が高ければ、利用者が支払うトータルのコストは大きくなります。
「パフォーマンス」は提案されたポートフォリオの情報だけでなく、過去に提供されていたポートフォリオがその後どの程度、実際にパフォーマンスをあげていたかも合わせて参考にするべきです。過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを保障してくれるわけではありません。しかし、どんなに優れた運用を謳っていても、それに見合うパフォーマンスを過去に上げていない場合には鵜呑みにできません。機関投資家だと、実績のパフォーマンスが3年に満たない場合は評価できないとして、門前払いしてしまうケースもあります。
しかし、ロボ・アドバイザーの過去のアドバイザーとしての成績を見ることは極めて困難です。ロボ・アドバイザーのサービスが始まってから日が浅く、長期の実績データが存在しないためです。加えて、①や③の場合には運用開始前の実際のパフォーマンスを知ることも容易ではありません。代わりにシミュレーション結果が提供されるかも知れませんが、シミュレーション期間のデータも参考にしたうえでポートフォリオを構築しており、実績のパフォーマンスとは分けて考える必要があります。
そのため、②や③の場合は、単純に手数料を重視するのも一つだと筆者は考えています。確実に引かれる手数料は、将来のパフォーマンスについて評価できる唯一の手がかりだからです。投資期間が長くなれば長くなるほど、支払う手数料は大きくなってしまうため、腰をすえて投資しようと考えるならばなおのことです。
おわりに
ロボ・アドバイザーの概要やポイントについて見てきましたが、個人投資家から見て一番のメリットはインターネットから気軽に無料で試せることかも知れません。対面だと相談したら断りにくくなるといった心境になりやすくなりますが、インターネットでしたら気に入らなければブラウザを閉じればいいだけです。さらにロボ・アドバイザーだと、ネットショッピングで最安値のお店を探すように、じっくりとサービスや提案ポートフォリオを比較、検討することもできます。
もし興味をお持ちになったら、ロボ・アドバイザーのアンケートに答えて、ご自身の資産運用のヒントにしてみてはいかがでしょうか。
もし興味をお持ちになったら、ロボ・アドバイザーのアンケートに答えて、ご自身の資産運用のヒントにしてみてはいかがでしょうか。
(2016年12月08日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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