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- 【東南アジア経済】ASEANの消費者物価(11月号)~原油安による物価下押し圧力が弱まり上昇
2016年11月25日
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主要品目別に見ると、食材が同7.11%増(前月:同6.20%増)、住宅・電気・ガス・燃料が同2.11%増(前月:同1.64%増)と、それぞれ上昇した。一方、運輸・通信・金融は同1.40%減(前月:同1.35%減)とマイナス幅が拡大したほか、衣類が同3.40%増(前月:3.98%増)、加工食品・飲料・タバコが同5.66%増(前月:同5.83増)と、それぞれ低下した。
食料品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同3.08%増(前月:同3.21%増)と、年明け以降は緩やかな低下基調にある。
11月16-17日に開かれた中央銀行の金融政策会合では、国内のマクロ経済は安定しているものの、米大統領選挙後の金融市場の不安定化を主因に政策金利を据え置いた。なお、中央銀行はインフレ率が年末まで目標(3-5%)の下限近くの3.0-3.2%で推移すると予想している。

主要品目別に見ると、原油価格下落の一巡により、運輸・通信が同0.18%増(前月:同0.57%減)と26ヵ月ぶりのプラスに転じた。一方、食品・飲料は同0.89%増(前月:同1.47%増)と、干ばつの影響が和らいで低下した。なお、住宅・家具も同1.15%減と引き続き低迷したほか、タバコ・酒類は同12.98%増と2月のタバコの物品税引き上げを受けて二桁増が続いた。
なお、コアCPI上昇率(生鮮食品とエネルギー除く)は同0.74%増(前月:同0.75%増)と若干低下し、概ね1%を下回る水準で安定している。
CPI上昇率は依然としてタイ銀行(中央銀行)のインフレ目標の範囲内(1-4%)を下回る低水準に止まっているが、中央銀行はインフレ率が16年後半に目標圏内まで上昇すると予想している。また11月9日の金融政策委員会(MPC)では、中央銀行は現行の緩和的な金融政策が景気に対して有効に機能していることや金融市場が不安定化していることから政策金利を据え置いた。しかし、10月13日にプミポン国王の死去後は自粛ムードで国内消費が落ち込んでおり、輸出と投資の回復が鈍いようであれば政府と協調して金融緩和に踏み切る展開も予想される。

主要品目別に見ると、食品・飲料は同2.5%増(前月:同3.0%増)と、4ヵ月連続で低下した。食品・飲料の内訳を見ると、肉類(同2.4%増)や野菜(同1.1%減)、果物(同3.1%増)が前月に続いて低下した。運輸は同5.5%減とガソリン小売価格が小幅に値上げされたものの、前月から横ばいとなった。また娯楽・文化も同3.5%増と、9月の衛星テレビの料金引上げを受けて高めで推移した。このほか、酒類・タバコは同19.8%増と、昨年11月のタバコ税と今年3月の酒税の見直しによって高水準が続き、住宅・光熱は同2.1%増(前月:同2.1%増)と横ばいとなった。
食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同2.0%増(前月:同2.1%増)と、低水準で安定して推移している。
11月23日の金融政策会合では、中央銀行はインフレ予想を2016年が2.0~2.5%と低水準となり、2017年についても世界的なエネルギーおよびコモディティー価格の低迷などから緩やかな推移となると示した。なお、政策金利については現行の3.00%で据え置いた。
(2016年11月25日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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