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- 【9月米FOMC】予想通り、政策金利据え置き。年内の利上げを示唆
2016年09月23日
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4.会見の主なポイント(要旨)
記者会見の主な内容は以下の通り。
- 政策金利維持の理由
- 最近の経済活動の回復と労働市場の回復持続に伴い政策金利の引き上げ根拠は強まった。
- 政策金利の維持は、景気回復に対する自信が揺らいだからではない。
- インフレ率が目標の2%を下回る中で「労働市場の緩み」の引き締り方が昨年に比べて緩やかとなっている。
- 短期金利がゼロ%に近い状況は、将来物価が上昇し、政策金利を引き上げる余地の方が、労働市場の軟化や物価が下落した時に金利を引き下げる余地より大きい。
- 経済を加速も減速もしない中立金利は、過去に比べて非常に低い。足元のFF金利は小幅ながら中立金利を下回っていることから、金融政策スタンスは緩和的だが、あくまで穏やかな水準に留まっているため、中立な政策に移行するのに手遅れになるリスクは低い。
- 今後の金融政策
- (FRBは利上げを回避する理由を探しているとしか思えない。当分の間はどの位の期間か、何があれば利上げするのかとの質問に対して)政策金利引き上げの根拠は強まっているものの、政策金利を引き上げるまでの猶予が少し残っていると考えている。FOMC参加者は、労働市場の回復が持続し、新たなリスクが生じない前提で年内1回の利上げが適当と考えている。
- (中立金利の低下基調が持続するのであれば、政策金利を維持するだけで緩和解除になるため、政策金利を引き上げる必要はないのではないかとの質問に対して)労働市場は、職探しを再開する人が労働市場に再参入しており、雇用が増加する中で失業率が下がらない状況となっている。この状況を景気過熱をせずにずっと続けていくことは不可能である。金融政策はフォワードルッキングで実施すべきで、FRBは景気が過熱することも、物価が2%の政策目標をオーバーシュートすることも望んでいない。自分達は緩やかな政策金利の引き上げが適当であると合意している。
- (イエレン議長、フィッシャー副議長、ローゼングレン総裁などの発言で政策金利引き上げ期待を上げておいて、その後のブレイナード委員の発言で冷ますような事をするとFRBの信認に傷がつかないのかとの質問に対して)ジャクソンホールでは、政策金利引き上げの根拠は強まったと発言したが、今回の声明でもその文言は踏襲されている。委員の間で、労働市場が目標に近づいている一方、インフレは目標を下回っているとの認識は共有されている。一方、米国および世界における「ニューノーマル」に関する困難な問題については試行錯誤しており、政策金利見通しの引き下げの要因にもなっている。我々のような組織では様々な意見が出されることが重要である。
- (大統領選挙直前となる11月のFOMCでも利上げを決定することは可能かとの質問に対して)11月も政策金利変更が可能である。FRBは金融政策決定において政治を考慮しない。
- 労働市場について
- 雇用は過去4ヵ月平均で18万人増加した。これは昨年よりは増加ペースが穏やかなものの、新しく労働市場に参入する人数に対して十分職を提供できる水準である。
- 失業率や他の労働資源の活用に関する指標はあまり変化していない。
- 昨年の後半以降、労働参加率が上昇していることが示すように職探しを再開して労働市場に参入する人が増えていることが要因である。
- このような状況は長続きしないものの、依然として労働市場の緩みには改善の余地が残っているとみられる。
5.FOMC参加者の見通し
(2016年09月23日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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