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- 【6月米雇用統計】市場予想を大幅に上回る雇用増加も、4-6月期でみた雇用増加ペースは、前期から鈍化
2016年07月11日
1.結果の概要:雇用者数は市場予想を大幅に上回る増加
7月8日、米国労働省(BLS)は6月の雇用統計を公表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で28.7万人の増加1(前月改定値:+1.1万人)となり、10年10月に雇用者数が増加基調に転じて以来、最も低い伸びとなった前月から大幅に増加、市場予想の+16.0万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も上回った(後掲図表2参照)。
失業率は4.9%(前月:4.7%、市場予想:4.8%)と、こちらは前月、市場予想を上回った(後掲図表6参照)。一方、労働参加率2は62.7%(前月:62.6%)と3ヵ月ぶりに上昇した(後掲図表5参照)。
1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
失業率は4.9%(前月:4.7%、市場予想:4.8%)と、こちらは前月、市場予想を上回った(後掲図表6参照)。一方、労働参加率2は62.7%(前月:62.6%)と3ヵ月ぶりに上昇した(後掲図表5参照)。
1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
2.結果の評価:6月の雇用者数は大幅増加も、4-6月期でみた雇用増加ペースは鈍化
5月の雇用統計が他の労働関連指標に比べて極端な悪化を示していたことから、他の指標と平仄を合わせる形で6月の雇用増加ペースが加速することは予想されていた。実際の結果は、市場予想を大幅に上回ったものの、5月の雇用増加数が下方修正された結果、4-6月期の平均月間増加ペースは14.7万人増に留まり、好調とされる20万人を下回ったほか、1-3月期(+19.6万人)や15年10-12月期(+28.2万人)から伸びが鈍化した。このため、雇用増加ペースは懸念されていた程ではないにしても、緩やかに鈍化していると判断できる。
一方、時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比が+0.1%(前月:+0.2%、市場予想:+0.2%)と前月、市場予想を小幅ながら下回ったものの、プラスの伸びは維持した。さらに、前年同月比は+2.6%(前月:+2.5%、市場予想:+2.7%)と、こちらも市場予想は下回ったものの、前月から伸びが加速しており、賃金上昇率は回復基調が持続していると言えよう(図表1)。
このようにみると、労働市場は雇用増加ペースは緩やかに鈍化しているものの、これまでの回復を背景に、労働需給のタイト化が漸く賃金上昇率の上昇に繋がってきており、回復基調は持続していると判断できる。
一方、6月の雇用統計の結果を受けた金融政策への影響については、FRBが懸念していた労働市場の悪化は回避されることが明確になった。しかしながら、6月のFOMC会合でリスク要因として挙げられていたBREXITが、6月下旬の英国民投票の結果を受けて現実的なシナリオとなってしまったことから、FRBは引き続き慎重な金融政策スタンスを堅持するとみられる。当研究所ではこれまで9月の追加利上げを予想していたが、英国民投票の結果を受けてFRBはより慎重な金融引締めスタンスを採用するとの判断から12月に変更した。
一方、時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比が+0.1%(前月:+0.2%、市場予想:+0.2%)と前月、市場予想を小幅ながら下回ったものの、プラスの伸びは維持した。さらに、前年同月比は+2.6%(前月:+2.5%、市場予想:+2.7%)と、こちらも市場予想は下回ったものの、前月から伸びが加速しており、賃金上昇率は回復基調が持続していると言えよう(図表1)。
このようにみると、労働市場は雇用増加ペースは緩やかに鈍化しているものの、これまでの回復を背景に、労働需給のタイト化が漸く賃金上昇率の上昇に繋がってきており、回復基調は持続していると判断できる。
一方、6月の雇用統計の結果を受けた金融政策への影響については、FRBが懸念していた労働市場の悪化は回避されることが明確になった。しかしながら、6月のFOMC会合でリスク要因として挙げられていたBREXITが、6月下旬の英国民投票の結果を受けて現実的なシナリオとなってしまったことから、FRBは引き続き慎重な金融政策スタンスを堅持するとみられる。当研究所ではこれまで9月の追加利上げを予想していたが、英国民投票の結果を受けてFRBはより慎重な金融引締めスタンスを採用するとの判断から12月に変更した。
3.事業所調査の詳細:サービス部門が広範に増加
事業所調査のうち、非農業部門雇用増の内訳は、民間サービス部門が前月比+25.6万人(前月:+3.5万人)と、低調であった前月の反動もあり、15年10月(27.3万人)以来の伸びとなった(図表2)。
サービス部門の中では、大手通信会社の従業員ストの影響から、前月に大幅な雇用減となった情報関連が前月比+4.4万人(前月:▲3.9万人)と大幅な増加に転じたほか、娯楽・宿泊も+5.9万人(前月:▲0.3万人)と、増加に転じた。さらに、小売が+3.0万人(前月:+0.3万人)と前月から大幅な増加となったほか、医療サービスも+3.9万人(前月:+4.3万人)と高い伸びが持続した。
財生産部門は、前月比+0.9万人(前月:▲4.1万人)と5ヵ月ぶりに増加に転じた。資源関連は▲0.6人(前月:▲0.8万人)と減少が続いているものの、建設業が横這い(前月:▲1.6万人)と3ヵ月ぶりに減少に歯止めがかかったほか、製造業が+1.4万人(前月:▲1.6万人)と前月から増加に転じた。
最後に、政府部門は+2.2万人(前月:+1.7万人)と、前月から伸びが加速した。内訳をみると連邦政府が+0.2万人(前月:+1.3万人)と前月から伸びが鈍化したものの、州・地方政府が+2.0万人(前月:+0.4万人)と前月から伸びが加速した。
サービス部門の中では、大手通信会社の従業員ストの影響から、前月に大幅な雇用減となった情報関連が前月比+4.4万人(前月:▲3.9万人)と大幅な増加に転じたほか、娯楽・宿泊も+5.9万人(前月:▲0.3万人)と、増加に転じた。さらに、小売が+3.0万人(前月:+0.3万人)と前月から大幅な増加となったほか、医療サービスも+3.9万人(前月:+4.3万人)と高い伸びが持続した。
財生産部門は、前月比+0.9万人(前月:▲4.1万人)と5ヵ月ぶりに増加に転じた。資源関連は▲0.6人(前月:▲0.8万人)と減少が続いているものの、建設業が横這い(前月:▲1.6万人)と3ヵ月ぶりに減少に歯止めがかかったほか、製造業が+1.4万人(前月:▲1.6万人)と前月から増加に転じた。
最後に、政府部門は+2.2万人(前月:+1.7万人)と、前月から伸びが加速した。内訳をみると連邦政府が+0.2万人(前月:+1.3万人)と前月から伸びが鈍化したものの、州・地方政府が+2.0万人(前月:+0.4万人)と前月から伸びが加速した。
前月(5月)と前々月(4月)の雇用増(改定値)は、前月が+1.1万人(改定前:+3.8万人)と▲2.7万人下方修正された一方、前々月が+14.4万人(改定前:+12.3万人)と+2.1万人上方修正された。この結果、2ヵ月合計の修正幅は▲0.6万人の下方修正となった(図表3)。
なお、BLSの公表に先立って7月7日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増が+17.2万人(前月改定値:+16.8万人、市場予想:+16.0万人)と2ヵ月連続で17万人近い増加となっており、極端に数値が振れた雇用統計と異なる動きとなった。
6月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が25.61ドル(前月:25.59ドル)となり、前月から+2セント増加した。週当たり労働時間は34.4時間(前月:34.4時間)と、こちらは5ヵ月連続で横這いとなっている。その結果、週当たり賃金は880.98ドル(前月:880.30ドル)と、前月から増加した(図表4)。
なお、BLSの公表に先立って7月7日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増が+17.2万人(前月改定値:+16.8万人、市場予想:+16.0万人)と2ヵ月連続で17万人近い増加となっており、極端に数値が振れた雇用統計と異なる動きとなった。
6月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が25.61ドル(前月:25.59ドル)となり、前月から+2セント増加した。週当たり労働時間は34.4時間(前月:34.4時間)と、こちらは5ヵ月連続で横這いとなっている。その結果、週当たり賃金は880.98ドル(前月:880.30ドル)と、前月から増加した(図表4)。
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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