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- 未婚化・晩婚化の一方で、国際結婚は増えている?
未婚化・晩婚化で独身者が増えている、といった話題も近頃ではすっかり新鮮味がなくなってきた。もちろん、少子高齢化が進行する我が国では対策を練るべき深刻な問題ではあるが、すでに定着してしまった話題のように思う。
日本人同士の結婚は減っている一方で、国際結婚は増えているような印象も受ける。地域にもよるが、街で国籍の違うカップルを目にする機会も増えたように感じる。
果たして、現在、日本人の国際結婚の動向はどうなっているのだろうか。
厚生労働省「人口動態統計」によると、1970年には5,500件に過ぎなかった日本人の国際結婚数も、1980年代には急激に増加し、2000年には3万件を超えている(図1)。2006年をピークに減少に転じているが、これは日本国籍の取得を目的としたアジア諸国の女性による偽装結婚の取り締まりが強化された影響iなどもあるようだ。一方、日本人の総結婚数は減少傾向にある。総結婚数に占める国際結婚の割合をみると、ここ10年は4%前後で推移している。なお、現在、日本在住の外国人数は165万人で、日本の総人口の1.3%であるii。よって、日本人の総結婚数に占める国際結婚比率はかなり高い印象を受ける。
また、国際結婚の増加にともなって、その破局も増えている。日本人の総離婚数に占める国際結婚による離婚の割合は7%台であり、結婚に占める割合(4%前後)よりも高い。やはり、文化や慣習の違いなどによって、日本人同士の結婚より壊れやすいのかもしれない。
ところで、国際結婚には日本人男性が外国人女性を妻にするケースと、日本人女性が外国人男性を夫にするケースとがあるが、両者の件数と相手の国籍には大きな違いがある。前者は国際結婚全体の4分の3を占めるが、後者は4分の1に過ぎない。
また、相手の国籍は、日本人男性の外国人の妻は「中国(44.5%)」「フィリピン(22.8%)」「韓国・朝鮮( 16.0%)」「タイ(4.8%)」の順に多く、9割以上をアジア諸国が占める(図2(a))。経年的にみても各国の順位は同様である。2006年のみフィリピンが中国を若干上回るのだが、このフィリピンの増減は国際結婚全体が2006年をピークに増減する様子とよく似ている。
一方、日本人女性の外国人の夫は「韓国・朝鮮(26.9%)」「米国(18.0%)」「中国(12.4%)」「英国(4.3%)」の順に多く、男性と違って欧米諸国も上位にあらわれる(図2(b))。経年的にみても各国の順位は同様である。ただし、ここ20年では「その他の国々(31.0%)」が多くなっており、日本人女性の方が日本人男性よりも様々な国の相手と結婚している様子が窺える。「人口動態統計」では「その他の国々」の具体的な国名を示していないが、参考になる数値として、法務省「登録外国人統計」の日本人の配偶者等の在留資格保有者数がある。男女合計値にはなるが、図2で登場した国以外では、インドネシア、ベトナム、カナダ、オーストラリア、ロシア、フランスなどがあがる。
以上のような国際結婚における日本人男女の違いは、日本で暮らす各国の男女数の違いiiiや各国で暮らす日本人男女数の違い、日本人男女の経済力の違いによるものと考えられる。
日本人の未婚化・晩婚化の原因の一つに、男女双方の結婚相手に求める条件や価値観・趣味嗜好のミスマッチがある。例えば、日本人男性は女性に優しさや明るさを求めるが、自分を優しいと思っている女性は15%しかいないという報告があるiv。また、日本人女性は経済状態の上昇に伴い趣味の上流志向が強まるが、男性は必ずしも経済状態と趣味は連動しないそうだ。
日本人同士の結婚にこだわらずに、様々な価値観を持つ外国人に目を広げると、もしかしたら結婚の障壁となっている、いくつかの課題はクリアされるのかもしれない。
※本稿はBUAISO No.48(2012年2月発行) プレパラート「国を出る-日本人の国際結婚の動向は?-」を加筆修正したものです。

03-3512-1878
(2012年03月08日「研究員の眼」)
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