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- ユーロ圏からの離脱の可能性を含むギリシャ支援合意~債務負担軽減のあり方を巡る調整が今後の焦点~
2015年07月17日
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- 7月12日のユーロ圏首脳会議は3年間で最大860億ユーロのギリシャ向け第3次支援で合意した。15日に支援手続き開始の条件となる改革関連法案がギリシャ議会で成立、16日にはECBがギリシャ中銀への緊急流動性支援(ELA)を増額、議会承認が必要な国での手続きが進んだ。EUの「つなぎ融資」で20日のECBへの国債償還資金も手当てされ、無秩序なデフォルト、銀行システムの崩壊、事実上のユーロ離脱は回避される見通しとなった。
- 12日の首脳会議にドイツの財務省は「厳しい条件付きの支援」と「一時的なユーロ離脱」の選択肢を用意して臨んだ。結果として、ギリシャ政府がユーロ残留を望み、フランスやイタリアなどが離脱案に反対し、厳しい条件付きの支援で落ち着いたが、ギリシャが厳しい支援条件を順調にクリアし、回復軌道に乗るイメージは描き難い。
- 支援の条件である改革はギリシャにとって必要だが、目先の大幅な需要不足、雇用機会の不足は解消せず、短期的には一層の落ち込みも予想される。政策の自由度も厳しく制限される。終わりのない緊縮や改革への有権者の不満が募り、反EU・反ユーロの機運が高まるおそれがある。
- IMFや米国、ECBも必要と考える元本削減など思い切った債務負担の軽減に踏み込むことが、事態の悪化を防ぐためにも必要だろう。
(2015年07月17日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
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