2015年10月19日

保険ショップ・FPチャネルの動向-利用者の特徴と支持される背景要因

生活研究部 シニアマーケティングリサーチャー   井上 智紀

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■要約

本稿では、近年、急速に存在感を増しつつある保険ショップや独立系FPに着目し、両チャネル利用者の特徴について概観するとともに、加入検討時の行動および加入後の評価から、保険ショップ・独立系FPの支持が拡がる背景について考察を試みた。

分析の結果、両チャネルの利用者は、家族形成期にある民間の正規雇用者が中心であり、都市部に限らず国内全域に拡がっている点では共通しているものの、保険ショップが中堅・中小企業の、独立系FPが大企業の従業員に多く、独立系FPでは50歳代でも多いなど、細部では差異がみられた。

両チャネル利用者の加入商品種類は共通しているものの、保障額では保険ショップでやや高くなっていた。一方、年間支払保険料は、第三分野では両者とも全体に比べやや高く、死亡保障では独立系FPで全体および保険ショップに比べ高くなっていたことから、両チャネルには、属性面の差異に加えて、提案する商品内容についても差異がある可能性が窺えた。

チャネル利用の経緯は両社の間でやや差異がある反面、利用目的や加入までの検討期間では大きな差異はないことから、両チャネル利用者はいずれも慎重に検討を進めているものの、保険ショップが自ら判断するための情報を求めて利用される傾向にあるのに対し、独立系FPは“自分にとって適切な保障”という、いわば回答を求めて利用されている可能性も示唆された。

チャネル選択理由では、保険ショップが他社比較や時間的な利便性が挙げられているのに対し、独立系FPでは訪問型の利便性に加えて、担当者の信頼やコンサルティングスキルの面で、保険ショップよりも高く評価されていた。

その結果、商品内容の満足度は両者とも高く、チャネル満足度では差異はみられないものの、再利用意向では、半数以上が態度を保留している独立系FPとは異なり、保険ショップでは4割以上が利用意向を示す結果となっていた。

これらの結果は、両チャネルが、従来、各保険会社がメインターゲットとしてきた家族形成期にある顧客層に対して、十分にニーズを汲みとった上で、商品提案や契約につなげており、特に保険ショップでは、より高い水準で消費者の期待に応えていることを示している。

両チャネルの利用は、今後さらに拡がる可能性が高いといえよう。

専属チャネルとは異なり、チャネル政策においては一定の制約がかかるなか、これらのチャネルをどのように活用していくか、保険会社には、従来とは異なるマーケティングへの取り組みが求められている。

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生活研究部   シニアマーケティングリサーチャー

井上 智紀 (いのうえ ともき)

研究・専門分野
消費者行動、金融マーケティング、ダイレクトマーケティング、少子高齢社会、社会保障

(2015年10月19日「基礎研レポート」)

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