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- 英国、EU残留の是非を問う国民投票へ-合理的な判断は残留支持だが・・・
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■要旨
5月の総選挙で保守党が単独過半数を確保したことで、英国が17年末までにEU残留の是非を問う国民投票を行うことが決まった。
キャメロン首相は、「改革されたEU」への残留を望んでおり、国民投票の前にEUに改革を提案する。提案は、(1)EUからの移民に対する規制、(2)EUの基本条約が掲げる「絶えず緊密化する連合」からの適用除外、(3)EU法の内容や決定プロセスの見直しからなる。
国民投票はEUとの交渉の成果を問うものであるため、EUとの交渉の結果は重要な意味を持つ。EUの欧州委員会は「ヒトの移動の自由」の原則の修正には応じられないが、EU法に関わる提案については前向きな取り組みが期待される。意思決定機関である首脳会議、閣僚会議のメンバーは、提案の内容ごとに利害が異なり、国ごとの温度差もある。中東欧は移民規制には反対の立場だが、北欧は英国と懸念を共有する。最も大きな影響力を持つドイツは今のところ柔軟な姿勢を示す。
世論調査は、EU残留支持が優勢だ。EUを離脱した場合の英国の立ち位置に不確実な要素が大きい。英国民は合理的に判断し、残留支持多数という結果に落ち着く可能性が高いと思われる。
(2015年05月29日「基礎研レポート」)

03-3512-1832
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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