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- 2025・2026年度経済見通し-25年4-6月期GDP2次速報後改定
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2025年09月08日
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1.2025年4-6月期の実質GDPは前期比年率2.2%へ上方修正
9/8に内閣府が公表した2025年4-6月期の実質GDP(2次速報値)は前期比0.5%(年率2.2%)となり、1次速報の前期比0.3%(年率1.0%)から上方修正された。
2025年4-6月期の法人企業統計の結果を受けて、設備投資は前期比1.3%から同0.6%へ下方修正されたが、民間在庫変動が前期比・寄与度▲0.3%から同▲0.0%へと大幅に上方修正されたことに加え、1次速報後に公表された6月のサービス産業動態統計など基礎統計の結果が反映され、民間消費が前期比0.2%から同0.4%へ上方修正されたことが成長率の上振れにつながった。
2025年4-6月期2次速報と同時に基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから過去の成長率が遡及改定された。実質GDP成長率は2024年7-9月期が前期比年率1.1%から同2.3%へ上方修正される一方、2024年4-6月期が前期比年率3.0%から同1.9%へ、2024年10-12月期が前期比年率2.4%から同2.1%へ、2025年1-3月期が前期比年率0.6%から同0.3%へ下方修正された。この結果、2023年度の実質GDP成長率は0.8%から0.7%へ下方修正された。
2025年4-6月期の法人企業統計の結果を受けて、設備投資は前期比1.3%から同0.6%へ下方修正されたが、民間在庫変動が前期比・寄与度▲0.3%から同▲0.0%へと大幅に上方修正されたことに加え、1次速報後に公表された6月のサービス産業動態統計など基礎統計の結果が反映され、民間消費が前期比0.2%から同0.4%へ上方修正されたことが成長率の上振れにつながった。
2025年4-6月期2次速報と同時に基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから過去の成長率が遡及改定された。実質GDP成長率は2024年7-9月期が前期比年率1.1%から同2.3%へ上方修正される一方、2024年4-6月期が前期比年率3.0%から同1.9%へ、2024年10-12月期が前期比年率2.4%から同2.1%へ、2025年1-3月期が前期比年率0.6%から同0.3%へ下方修正された。この結果、2023年度の実質GDP成長率は0.8%から0.7%へ下方修正された。
(トランプ関税の影響で自動車が大幅減益)
財務省が9月1日に公表した法人企業統計によると、2025年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比0.2%(1-3月期:同3.8%)とかろうじて3四半期連続の増益となった。トランプ関税の影響などから製造業が前年比▲11.5%(1-3月期:同▲2.4%)と減少幅が拡大したが、非製造業が前年比6.6%(1-3月期:同7.0%)と堅調を維持し、製造業の落ち込みをカバーした。
4月から米国向け輸出に25%の追加関税が課せられている自動車・同付属品は前年比▲29.6%だった。輸出価格を大幅に引き下げたことから米国向け輸出は数量ベースでは横ばい圏で踏みとどまったが、価格の引き下げにより売上高経常利益率が2024年4-6月期の17.7%から12.1%(前年差▲5.6%)へ悪化したことが収益を大きく下押しした。
財務省が9月1日に公表した法人企業統計によると、2025年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比0.2%(1-3月期:同3.8%)とかろうじて3四半期連続の増益となった。トランプ関税の影響などから製造業が前年比▲11.5%(1-3月期:同▲2.4%)と減少幅が拡大したが、非製造業が前年比6.6%(1-3月期:同7.0%)と堅調を維持し、製造業の落ち込みをカバーした。
4月から米国向け輸出に25%の追加関税が課せられている自動車・同付属品は前年比▲29.6%だった。輸出価格を大幅に引き下げたことから米国向け輸出は数量ベースでは横ばい圏で踏みとどまったが、価格の引き下げにより売上高経常利益率が2024年4-6月期の17.7%から12.1%(前年差▲5.6%)へ悪化したことが収益を大きく下押しした。
(2026年の春闘賃上げ率は鈍化へ)
春闘賃上げ率は2024、2025年と2年連続で5%台の高水準となったが、先行きについては、トランプ関税による景気減速を受けて、賃上げを巡る環境も悪化することが見込まれる。人口減少、少子高齢化という人口動態面からの構造的な要因で企業の人手不足感が強い状態は継続する可能性があるが、輸出の減少を起点とした企業収益の悪化や物価上昇率の低下が賃上げの抑制につながるだろう。
2026年の春闘賃上げ率は4.5%(厚生労働省の「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」ベース)と予想する。2026年の春闘賃上げ率が前年よりも下がることは避けられない情勢だが、4%台半ばという賃上げ水準は、定期昇給を除いたベースアップでみれば3%程度であり、引き続き日銀の物価目標の2%を上回っている。
2025年7月の実質賃金上昇率(前年比)は0.5%と7か月ぶりのプラスとなった。消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合)は前年比3.6%の高い伸びとなったが、特別給与が前年比7.9%の大幅増加となったことを主因として名目の現金給与総額が前年比4.1%となり、物価の伸びを上回った。
実質賃金上昇率は2024年以降、プラスとなる月が見られるようになったが、いずれも特別給与(ボーナス)の大幅増加が主因であり、安定的な動きをする「きまって支給される給与(所定内給与+所定外給与)」は2022年2月から3年以上にわたってマイナス圏で推移している。実質賃金上昇率はボーナスがほとんど支給されない8月以降、再びマイナスに転じる公算が大きい。実質賃金上昇率が持続的・安定的にプラスとなるのは、名目賃金上昇率が2~3%程度で推移する中、消費者物価上昇率が2%を割り込むことが見込まれる2026年1-3月期以降と予想する。
春闘賃上げ率は2024、2025年と2年連続で5%台の高水準となったが、先行きについては、トランプ関税による景気減速を受けて、賃上げを巡る環境も悪化することが見込まれる。人口減少、少子高齢化という人口動態面からの構造的な要因で企業の人手不足感が強い状態は継続する可能性があるが、輸出の減少を起点とした企業収益の悪化や物価上昇率の低下が賃上げの抑制につながるだろう。
2026年の春闘賃上げ率は4.5%(厚生労働省の「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」ベース)と予想する。2026年の春闘賃上げ率が前年よりも下がることは避けられない情勢だが、4%台半ばという賃上げ水準は、定期昇給を除いたベースアップでみれば3%程度であり、引き続き日銀の物価目標の2%を上回っている。
2025年7月の実質賃金上昇率(前年比)は0.5%と7か月ぶりのプラスとなった。消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合)は前年比3.6%の高い伸びとなったが、特別給与が前年比7.9%の大幅増加となったことを主因として名目の現金給与総額が前年比4.1%となり、物価の伸びを上回った。
実質賃金上昇率は2024年以降、プラスとなる月が見られるようになったが、いずれも特別給与(ボーナス)の大幅増加が主因であり、安定的な動きをする「きまって支給される給与(所定内給与+所定外給与)」は2022年2月から3年以上にわたってマイナス圏で推移している。実質賃金上昇率はボーナスがほとんど支給されない8月以降、再びマイナスに転じる公算が大きい。実質賃金上昇率が持続的・安定的にプラスとなるのは、名目賃金上昇率が2~3%程度で推移する中、消費者物価上昇率が2%を割り込むことが見込まれる2026年1-3月期以降と予想する。
2.実質成長率は2025年度0.7%、2026年度0.9%を予想
2025年4-6月期のGDP2次速報を受けて、8/18に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2025年度が0.7%、2026年度が0.9%と予想する。2025年4-6月期の実績値が上振れたことを受けて、2025年度の見通しを0.1%上方修正した。
2025年4-6月期はトランプ関税下でも輸出が底堅い動きとなったこと、民間消費、設備投資を中心に国内需要も増加したことから、前期比年率2.2%のプラス成長となった。しかし、7-9月期は関税引き上げの影響が顕在化し、輸出が減少することに加え、建築物省エネ法・建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で住宅投資が大きく落ち込むことから、前期比▲2.0%と6四半期ぶりのマイナス成長となるだろう。10-12月期は輸出の減少ペースが緩やかとなること、物価上昇率の鈍化を受けて民間消費が緩やかに持ち直すことなどから、前期比年率0.3%とかろうじてプラス成長に復帰すると予想するが、米国の貿易赤字縮小が進まないことなどを理由に米国が再び関税の引き上げを行うリスクは残る。その場合、日本はマイナス成長が継続し、景気後退に陥る可能性が高まるだろう。
2026年入り後は関税引き上げの影響が徐々に減衰し、輸出が持ち直す中、民間消費、設備投資を中心に国内需要が増加し、潜在成長率を若干上回る年率1%程度の成長が続くことが予想される。
2025年4-6月期はトランプ関税下でも輸出が底堅い動きとなったこと、民間消費、設備投資を中心に国内需要も増加したことから、前期比年率2.2%のプラス成長となった。しかし、7-9月期は関税引き上げの影響が顕在化し、輸出が減少することに加え、建築物省エネ法・建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で住宅投資が大きく落ち込むことから、前期比▲2.0%と6四半期ぶりのマイナス成長となるだろう。10-12月期は輸出の減少ペースが緩やかとなること、物価上昇率の鈍化を受けて民間消費が緩やかに持ち直すことなどから、前期比年率0.3%とかろうじてプラス成長に復帰すると予想するが、米国の貿易赤字縮小が進まないことなどを理由に米国が再び関税の引き上げを行うリスクは残る。その場合、日本はマイナス成長が継続し、景気後退に陥る可能性が高まるだろう。
2026年入り後は関税引き上げの影響が徐々に減衰し、輸出が持ち直す中、民間消費、設備投資を中心に国内需要が増加し、潜在成長率を若干上回る年率1%程度の成長が続くことが予想される。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は2024年12月以降、前年比3%台で推移している。食料の上昇ペース加速を主因として2025年5月には3.7%まで伸びを高めた後、エネルギー価格の上昇率が大きく鈍化したことから7月には同3.1%まで伸びが低下した。
食料品(生鮮食品を除く)は2023年8月の前年比9.2%をピークに2024年7月には同2.6%まで鈍化したが、その後は輸入物価の再上昇に米価格の高騰が加わったことから再び上昇率が高まり、2025年7月には同8.3%となった。
川上段階(輸入物価)の食料品価格の上昇率は2023年夏頃に比べれば低水準にとどまっているが、川下段階(消費者物価)の価格転嫁率は高まっている。飲食料品の輸入物価は2020年秋頃から2022年末にかけて約60%の急上昇となった。この間、消費者物価の食料品(除く生鮮食品)の上昇率は10%弱にとどまっていた。これに対し、2023年初以降の飲食料品の輸入物価上昇率はピーク時でも15%程度と前回の上昇局面の4分の1程度にとどまっているが、消費者物価の食料品は15%程度と輸入物価とほぼ等しい上昇率となっている。人件費や物流費の価格転嫁に加え、物価高が継続したことで企業の値上げに対する抵抗感が薄れていることがこの背景にあると考えられる。
一方、帝国データバンクの「食品主要195社価格動向調査」によれば、2025年の飲食料品の値上げ品目数は2024年を上回るペースで増加しているが、先行き3ヵ月の値上げ品目数の増加ペースは頭打ちとなる兆しも見られる。消費者物価指数の食料の上昇率は当面高止まりするものの、2025年度後半にかけて伸び率は頭打ちとなることが見込まれる。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は2024年12月以降、前年比3%台で推移している。食料の上昇ペース加速を主因として2025年5月には3.7%まで伸びを高めた後、エネルギー価格の上昇率が大きく鈍化したことから7月には同3.1%まで伸びが低下した。
食料品(生鮮食品を除く)は2023年8月の前年比9.2%をピークに2024年7月には同2.6%まで鈍化したが、その後は輸入物価の再上昇に米価格の高騰が加わったことから再び上昇率が高まり、2025年7月には同8.3%となった。
川上段階(輸入物価)の食料品価格の上昇率は2023年夏頃に比べれば低水準にとどまっているが、川下段階(消費者物価)の価格転嫁率は高まっている。飲食料品の輸入物価は2020年秋頃から2022年末にかけて約60%の急上昇となった。この間、消費者物価の食料品(除く生鮮食品)の上昇率は10%弱にとどまっていた。これに対し、2023年初以降の飲食料品の輸入物価上昇率はピーク時でも15%程度と前回の上昇局面の4分の1程度にとどまっているが、消費者物価の食料品は15%程度と輸入物価とほぼ等しい上昇率となっている。人件費や物流費の価格転嫁に加え、物価高が継続したことで企業の値上げに対する抵抗感が薄れていることがこの背景にあると考えられる。
一方、帝国データバンクの「食品主要195社価格動向調査」によれば、2025年の飲食料品の値上げ品目数は2024年を上回るペースで増加しているが、先行き3ヵ月の値上げ品目数の増加ペースは頭打ちとなる兆しも見られる。消費者物価指数の食料の上昇率は当面高止まりするものの、2025年度後半にかけて伸び率は頭打ちとなることが見込まれる。
サービス価格の動向を大きく左右する人件費は、高水準の賃上げを背景に増加が続くことが見込まれる。人件費や物流費を価格転嫁する動きが続くことから、サービス価格の上昇ペースは再び加速する可能性が高い。

コアCPIは、2024年度の前年比2.7%の後、2025年度が同2.7%、2026年度が同1.6%、コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は2024年度の前年比2.3%の後、2025年度が3.0%、2026年度が2.0%と予想する。
(2025年09月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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