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- 中国:25年4~6月期の成長率予測-前期から減速。外需が減速し始めた一方、政策効果で安定は維持
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2025年06月26日
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1.足もとの概況と25年4~6月期の成長率の見通し
2025年1~3月期の実質GDP成長率は、前年同期比+5.4%と、前期(24年10~12月期)の同+5.4%から横ばいで推移した(図表1)。季節調整後の前期比(年率)は+4.9%と、前期(同+6.6%)から減速した。その後、足元の中国経済は、米中摩擦の影響が外需に表れ始めた一方、政策の下支え効果によって辛うじて安定を維持している。
主な需要の動向をみると、24年中好調であった輸出の伸びは、25年に入り低下した。他方、内需は、政策の下支え効果により安定を維持している。もっとも、投資は減速、小売は加速傾向と、需要項目により動きはまちまちとなっている(図表2)。企業の景況感や不動産市場に関しては、24年夏場以降みられた改善の動きが25年初に入った後に一服し、足元ではやや悪化している。物価については、低調な状態が続いている(図表3)。
GDP成長率(前年同期比)を月次で推計した「景気インデックス」は、25年4~5月期、前年同期比+4.6%と、1~3月期の推計値(同+4.7%)から小幅に減速している(図表4)。6月の景気次第で振れるとはいえ、25年7月15日に発表予定の25年4~6月期の実質GDP成長率は、前期から減速となる可能性が高い。ただ、減速は小幅にとどまるとみられ、25年3月に開催された全人代で設定された「+5%前後」の成長率目標の達成は、依然として視野に入るだろう。
経済対策の効果は、消費財買い替え支援策は好調な一方、投資の減速や不動産販売の悪化など、一部で息切れ感も見え始めた。米中摩擦についても、6月に電話による首脳会談や第2回目の閣僚級協議が実施されたものの、交渉の先行きは依然不透明だ。引き続き不安定な状態が続くだろう。
主な需要の動向をみると、24年中好調であった輸出の伸びは、25年に入り低下した。他方、内需は、政策の下支え効果により安定を維持している。もっとも、投資は減速、小売は加速傾向と、需要項目により動きはまちまちとなっている(図表2)。企業の景況感や不動産市場に関しては、24年夏場以降みられた改善の動きが25年初に入った後に一服し、足元ではやや悪化している。物価については、低調な状態が続いている(図表3)。
GDP成長率(前年同期比)を月次で推計した「景気インデックス」は、25年4~5月期、前年同期比+4.6%と、1~3月期の推計値(同+4.7%)から小幅に減速している(図表4)。6月の景気次第で振れるとはいえ、25年7月15日に発表予定の25年4~6月期の実質GDP成長率は、前期から減速となる可能性が高い。ただ、減速は小幅にとどまるとみられ、25年3月に開催された全人代で設定された「+5%前後」の成長率目標の達成は、依然として視野に入るだろう。
経済対策の効果は、消費財買い替え支援策は好調な一方、投資の減速や不動産販売の悪化など、一部で息切れ感も見え始めた。米中摩擦についても、6月に電話による首脳会談や第2回目の閣僚級協議が実施されたものの、交渉の先行きは依然不透明だ。引き続き不安定な状態が続くだろう。
2.実体経済の動向
(生産・投資・外需)
生産の動向について、5月の前年同月比の伸び率(実質)をみると、鉱工業部門では、前月から伸びが低下した(図表5)。自動車では伸びが高まったのに対して、その他の大半の業種では伸びが低下した。サービス業部門では、伸びが前月から高まった。アパレルや皮革製品、その他製品(日用品など)は、4月または5月から前年比マイナスに転じている。情報通信・ソフトウェア・ITや卸・小売で伸びが高まった。
PMI調査の結果をみると、製造業では、25年2月から3月にかけて改善したが、4月から5月にかけて景気の好不況の境目である50を下回る水準で推移している(図表6)。サービス業では、25年に入り50をやや上回る水準で推移を続けており、5月は前月から上昇した。同調査で需要不足と回答する企業の比率は、24年7月以降具体的には発表されておらず、25年5月には定性的な説明もなされなかったため、詳細は不明となっている。
生産の動向について、5月の前年同月比の伸び率(実質)をみると、鉱工業部門では、前月から伸びが低下した(図表5)。自動車では伸びが高まったのに対して、その他の大半の業種では伸びが低下した。サービス業部門では、伸びが前月から高まった。アパレルや皮革製品、その他製品(日用品など)は、4月または5月から前年比マイナスに転じている。情報通信・ソフトウェア・ITや卸・小売で伸びが高まった。
PMI調査の結果をみると、製造業では、25年2月から3月にかけて改善したが、4月から5月にかけて景気の好不況の境目である50を下回る水準で推移している(図表6)。サービス業では、25年に入り50をやや上回る水準で推移を続けており、5月は前月から上昇した。同調査で需要不足と回答する企業の比率は、24年7月以降具体的には発表されておらず、25年5月には定性的な説明もなされなかったため、詳細は不明となっている。
投資の動向について、5月の固定資産投資の前年同月比伸び率(名目、以下同)は、前月から低下した(図表7)。業種別にみると、製造業の投資は、伸びが低下した。設備投資は、依然として2桁の伸びを続けているが、前月からは減速が続いている。インフラ投資も、相対的に高水準で推移はしているものの、前月から伸びが小幅に低下した。不動産開発投資は、前月に続きマイナス幅が拡大した。
外需の動向について、5月の輸出(ドル建て)の伸びは、前月から低下した(図表8)。国・地域別では、米国向けでマイナス幅が拡大した。ASEAN向けは高水準で推移しているものの、伸びは前月から低下した。EU向けは伸びが上昇、日本向けは低下した。財別では、履物やコンピュータ・同部品、携帯電話などでマイナス幅が拡大した一方、半導体や自動車では伸びが高まった。輸入(ドル建て)は、伸びのマイナス幅が拡大した。貿易収支は、約1,030億ドルの黒字となり、前年同月比で増加した。
外需の動向について、5月の輸出(ドル建て)の伸びは、前月から低下した(図表8)。国・地域別では、米国向けでマイナス幅が拡大した。ASEAN向けは高水準で推移しているものの、伸びは前月から低下した。EU向けは伸びが上昇、日本向けは低下した。財別では、履物やコンピュータ・同部品、携帯電話などでマイナス幅が拡大した一方、半導体や自動車では伸びが高まった。輸入(ドル建て)は、伸びのマイナス幅が拡大した。貿易収支は、約1,030億ドルの黒字となり、前年同月比で増加した。
(消費・家計)
消費の動向について、小売売上高の伸びをみると、5月は前月から高まった(図表9)。財、外食サービスともに伸びが高まった。国家統計局は、端午節休暇や、年に2回のECセール期間(いわゆる「618」商戦)、政府による買い替え支援策の複合的な効果によるものと説明している。
一定規模以上企業を対象にした統計で財の品目別の動向をみると、化粧品や宝飾品で伸びが低下したのに対して、衣類等は伸びが高まった(図表10)。耐久消費財の買い替え支援策の対象となっている商品は、引き続き高水準の伸びを続けており、家電・AV機器や通信機器、自動車は伸びが高まった。他方、(タブレットを含む)オフィス用品等や家具の伸びは小幅に低下した。不動産関連の財(建築・内装材)の伸びは低下した。
消費の動向について、小売売上高の伸びをみると、5月は前月から高まった(図表9)。財、外食サービスともに伸びが高まった。国家統計局は、端午節休暇や、年に2回のECセール期間(いわゆる「618」商戦)、政府による買い替え支援策の複合的な効果によるものと説明している。
一定規模以上企業を対象にした統計で財の品目別の動向をみると、化粧品や宝飾品で伸びが低下したのに対して、衣類等は伸びが高まった(図表10)。耐久消費財の買い替え支援策の対象となっている商品は、引き続き高水準の伸びを続けており、家電・AV機器や通信機器、自動車は伸びが高まった。他方、(タブレットを含む)オフィス用品等や家具の伸びは小幅に低下した。不動産関連の財(建築・内装材)の伸びは低下した。
(2025年06月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
三浦 祐介のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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