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- 企業物価指数2025年5月~コメ価格高騰も、国内企業物価は前年比上昇率が4月より鈍化~
2025年06月11日
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1.国内企業物価は6ヵ月ぶりの前年比3%台
日本銀行が6月11日に発表した企業物価指数によると、2025年5月の国内企業物価は、前年比3.2%(4月:同4.1%)と、6ヵ月ぶりに3%台へと鈍化した。内訳をみると23類別中、18類別が上昇、5類別が低下となった。精米が前年比77.3%、玄米が同77.6%とコメ価格の高騰が続いていることから、農林水産物は前年比42.8%(4月:同43.5%)となった。さらに、コメ価格高騰の影響を受けて、すし・弁当・おにぎりが同11.9%(4月:同12.6%)となったことなどから、飲食料品は前年比4.2%(4月:同4.0%)と高い伸びが続いている。一方、電力・都市ガス・水道は、電気・都市ガス代の支援策は終了したが、前年の水準が高かったため、前年比6.5%(4月:同10.1%)と前月から伸びが鈍化した。
2.契約通貨ベースの輸入物価は前年比▲4.7%
5月の契約通貨ベースの輸入物価は、前年比▲4.7%(4月:同▲2.7%)と9ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、ガソリンが前年比▲22.4%と10ヵ月連続のマイナス、ジェット燃料油が同▲18.1%となったことなどから、石油・石炭・天然ガスは前年比▲14.3%(4月:同▲9.3%)と9ヵ月連続でマイナスとなった。
契約通貨ベースの前月比では、▲1.2%(4月:同▲0.6%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、原油が前月比▲6.2%と3ヵ月連続のマイナス、液化天然ガスが同▲2.2%と4ヵ月連続のマイナスとなったことなどから、石油・石炭・天然ガスは前月比▲4.7%(4月:同▲2.3%)と3ヵ月連続でマイナスとなり、全体を押し下げた。
5月の為替相場は、対ドルでは144円台(前月比0.2%)と前月から横ばいで推移し、円ベースの輸入物価は前月比▲1.1%(4月:同▲3.0%)と前月よりマイナス幅が縮小した。
契約通貨ベースの前月比では、▲1.2%(4月:同▲0.6%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、原油が前月比▲6.2%と3ヵ月連続のマイナス、液化天然ガスが同▲2.2%と4ヵ月連続のマイナスとなったことなどから、石油・石炭・天然ガスは前月比▲4.7%(4月:同▲2.3%)と3ヵ月連続でマイナスとなり、全体を押し下げた。
5月の為替相場は、対ドルでは144円台(前月比0.2%)と前月から横ばいで推移し、円ベースの輸入物価は前月比▲1.1%(4月:同▲3.0%)と前月よりマイナス幅が縮小した。
3.先行きの国内企業物価は2%台で推移すると予想
国内企業物価は前年比の伸び率が前月から鈍化し、6ヵ月ぶりに前年比3%台となった。先行きについては、飲食料品の上昇率が前年比4.2%と2023年夏頃(同8%台後半)に比べれば低水準にとどまっているものの、食料品値上げの動きはしばらく続く可能性が高い。そして、電気・都市ガス代の支援策は2025年7~9月使用分で再開されることとなったが、2024年8~10月使用分でも実施されており、値引き額は今回のほうが小さいため、支援策によるエネルギー価格の前年比上昇率の押し下げ幅は限定的にとどまるだろう。一方、農林水産省が6月9日に発表した5月26日の週のコメの平均店頭価格は4,223円/5kgと2週連続で価格が下落している。備蓄米の販売が本格化していることで、コメ価格は次第に下落していくことが見込まれる。以上より、先行きの国内企業物価は2%台で推移すると予想する。
(2025年06月11日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2020年4月 株式会社横浜銀行
2024年9月 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
佐藤 雅之のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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