- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 日銀短観(12月調査)~景況感は改善したが、先行き懸念は強め、人手不足感はコロナ前ピークに到達
2023年12月13日
■要旨
- 12月短観では、大企業製造業・非製造業ともに景況感の改善が示された。製造業では中国経済の回復の遅れが重石となったものの、供給制約緩和に伴う自動車の生産回復や円安が追い風となった。非製造業では物価高による消費抑制や人手不足感が逆風となったものの、経済活動正常化に伴うサービス需要やインバウンドの回復持続、価格転嫁進展による好影響が上回った。
- 先行きの景況感は総じて悪化が示された。製造業では、これまで堅調を維持してきた米国経済の減速とそれに伴う円高、中国経済の回復のさらなる遅れなどへの警戒感が優勢になったとみられる。また、非製造業では、物価高に伴う国内消費の腰折れや人手不足の深刻化、原材料価格の再上昇などへの警戒感が台頭したとみられ、先行きに対する慎重な見方が示された。
- 2023年度の設備投資計画(全規模)は前年比12.8%増と若干下方修正された。例年12月調査では、中小企業において年度計画が固まることで投資額が上乗せされる傾向が強いうえ、資材価格や人件費の上昇を受けて投資額が嵩みやすくなっている面も押し上げ材料になったとみられる 。収益回復を受けた投資余力の改善、脱炭素・DX・省力化・サプライチェーンの再構築等に伴う投資需要もプラスに寄与したとみられる。12月調査における前年比12.8%増という伸び率は、バブル期後では昨年度に次ぐ高水準に当たり、引き続き堅調な投資計画と言える。
- 注目された販売価格判断DI(大企業)については、仕入価格の上昇鈍化を受けて、総じて足元で販売価格への転嫁の勢いがやや和らいでいる。先行きについても、大企業製造業では販売価格の上昇圧力後退が想定されている一方で、大企業非製造業や中小企業では今後の仕入価格上昇見込みやこれまでの価格転嫁の遅れを背景に、販売価格引き上げの勢いをやや加速する方針が示されている。また、企業の物価見通しも各期間ともに日銀の物価目標である2%を上回った状況が維持されている。今後の物価・賃金動向への影響が注目される。
■目次
1.全体評価:足元の景況感は改善、設備投資は堅調維持、価格転嫁は長期化
2.業況判断DI: 大企業製造業・非製造業ともに改善も、先行きは悪化
・大企業
3.需給・価格判断:海外需給が緩和、中小の値上げ意向は継続
・需給判断:海外で需給が緩和、先行きは小動き
・価格判断:販売価格の上昇圧力は鈍化方向だが、中小企業は高止まりへ
4.売上・利益計画: 23年度収益は上方修正、小幅な増益計画へ転じる
5.設備・雇用:設備投資計画は若干下方修正、人手不足感はさらに強まる
1.全体評価:足元の景況感は改善、設備投資は堅調維持、価格転嫁は長期化
2.業況判断DI: 大企業製造業・非製造業ともに改善も、先行きは悪化
・大企業
3.需給・価格判断:海外需給が緩和、中小の値上げ意向は継続
・需給判断:海外で需給が緩和、先行きは小動き
・価格判断:販売価格の上昇圧力は鈍化方向だが、中小企業は高止まりへ
4.売上・利益計画: 23年度収益は上方修正、小幅な増益計画へ転じる
5.設備・雇用:設備投資計画は若干下方修正、人手不足感はさらに強まる
(2023年12月13日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/10/28 | 実質賃金の回復を急げ~持続的な生産性向上に向けた議論を | 上野 剛志 | 研究員の眼 |
2024/10/23 | 円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2024/10/11 | 貸出・マネタリー統計(24年9月)~金融政策正常化を受けてマネタリーベースが前年割れに、貸出の伸びは円高で抑制 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2024/10/07 | 不透明感を増す利上げの行方~日銀金融政策のポイントと見通し | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月31日
首都圏新築マンション市場の動向(2024年9月)~マンション発売戸数は今後も低水準にとどまる見通し -
2024年10月31日
2024年7-9月期の実質GDP~前期比0.2%(年率0.8%)を予測~ -
2024年10月31日
なぜ「今」BeRealを撮影する必要があるのだろうか-BeRealに関する私論的考察 -
2024年10月31日
ユーロ圏GDP(2024年7-9月期)-前期比0.4%で成長は加速 -
2024年10月31日
米GDP(24年7-9月期)-前期比年率+2.8%と前期から小幅低下、市場予想の+2.9%も小幅に下回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【日銀短観(12月調査)~景況感は改善したが、先行き懸念は強め、人手不足感はコロナ前ピークに到達】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日銀短観(12月調査)~景況感は改善したが、先行き懸念は強め、人手不足感はコロナ前ピークに到達のレポート Topへ