- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 年金制度 >
- キャリアの多様化と退職金・年金税制
2023年11月06日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
今年6月の政府税制調査会の中期答申では、勤続20年目まで年40万円、21年目から年70万円になる現在の退職所得控除について、支給形態や労働市場の変化への対応を検討する、とした。
退職金・年金の具体的な変化として第1に、65歳までの雇用が義務付けられて以降、キャリア後半で退職金額の上昇が抑えられつつある。第2にIT分野などでは、中途採用した即戦力にそのまま活躍してもらう例が増えている。その場合には年功よりも能力と働きを反映した報酬が支払われる。退職金があったとしても、本人の選択により、報酬の一部を後払いするのが実態だ。第3に中小企業では賃金水準を維持しながら、総人件費の負担を軽減するため、退職金・年金制度を廃止する例がある。第4に退職金や企業年金がほとんどない非正規労働者が被用者の4割を占めるようになっている。
キャリアの多様化とともに、労使が、いつ、どのくらいの資金を私的な老後準備に拠出するか、その選択が多様化してきた。今後の退職金(年金)税制では、例えば(1)個人ごとに生涯の控除枠を与え、(2)その範囲であれば事業主の支給する退職金(年金原資)だけでなく、個人型確定拠出年金のように従業員自らの拠出にも所得控除を認め、(3)取崩しを老後の生活費や住宅取得等一定の目的に限る、など柔軟な仕組みを用意する必要があろう。
退職金・年金の具体的な変化として第1に、65歳までの雇用が義務付けられて以降、キャリア後半で退職金額の上昇が抑えられつつある。第2にIT分野などでは、中途採用した即戦力にそのまま活躍してもらう例が増えている。その場合には年功よりも能力と働きを反映した報酬が支払われる。退職金があったとしても、本人の選択により、報酬の一部を後払いするのが実態だ。第3に中小企業では賃金水準を維持しながら、総人件費の負担を軽減するため、退職金・年金制度を廃止する例がある。第4に退職金や企業年金がほとんどない非正規労働者が被用者の4割を占めるようになっている。
キャリアの多様化とともに、労使が、いつ、どのくらいの資金を私的な老後準備に拠出するか、その選択が多様化してきた。今後の退職金(年金)税制では、例えば(1)個人ごとに生涯の控除枠を与え、(2)その範囲であれば事業主の支給する退職金(年金原資)だけでなく、個人型確定拠出年金のように従業員自らの拠出にも所得控除を認め、(3)取崩しを老後の生活費や住宅取得等一定の目的に限る、など柔軟な仕組みを用意する必要があろう。
(2023年11月06日「ニッセイ年金ストラテジー」)
このレポートの関連カテゴリ
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【キャリアの多様化と退職金・年金税制】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
キャリアの多様化と退職金・年金税制のレポート Topへ