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- 社会の変化に合わせた年金制度の見直しが課題に~年金改革ウォッチ 2023年4月号
2023年04月11日
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1 ―― 先月までの動き
年金広報検討会では、2023年度の年金広報の進め方などについて意見交換した。年金部会では、社会経済状況の変化や全世代型社会保障構築会議の報告書について報告を受け、各委員が順に意見を述べた。年金数理部会では、作業班でまとめた報告書案を確認し、表現を微修正することで了承した。
○年金局 年金広報検討会
3月16日(第17回) 学生との年金対話集会、令和の年金広報コンテスト、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00033.html (資料)
○社会保障審議会 年金部会
3月28日(第2回) 年金制度を取り巻く社会経済状況の変化、全世代型社会保障構築会議での議論
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230328.html (資料)
○社会保障審議会 年金数理部会
3月30日(第96回) 公的年金財政状況報告-令和3年度(案)
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198131_00027.html (資料)
○年金局 年金広報検討会
3月16日(第17回) 学生との年金対話集会、令和の年金広報コンテスト、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00033.html (資料)
○社会保障審議会 年金部会
3月28日(第2回) 年金制度を取り巻く社会経済状況の変化、全世代型社会保障構築会議での議論
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230328.html (資料)
○社会保障審議会 年金数理部会
3月30日(第96回) 公的年金財政状況報告-令和3年度(案)
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198131_00027.html (資料)
2 ―― ポイント解説:社会の変化と、それに合わせた年金制度の見直し
先月の年金部会では、年金制度に関連する様々な社会状況の変化が話題となった。本稿では、複数の委員が論点に挙げた未婚率と女性の正規雇用率を取り上げる。なお、部会では時代や年齢に着目した資料が提示されたが、部会での委員の意見を踏まえ、本稿では世代に着目して状況変化を見る。
1|未婚率:新しい世代ほど上昇。少子化の原因となるだけでなく、高齢期の家計のあり方にも影響
未婚率の上昇は少子化の一因として注目されているが、高齢期の家計のあり方にも影響する状況になっている。年金部会では、現在(2020年)の50代前半の未婚率が、基礎年金が創設された時期(1985年)と比べて、男性で約7.8倍(24.2%)、女性で約3.5倍(15.2%)になっていることが示された。
未婚率の上昇は少子化の一因として注目されているが、高齢期の家計のあり方にも影響する状況になっている。年金部会では、現在(2020年)の50代前半の未婚率が、基礎年金が創設された時期(1985年)と比べて、男性で約7.8倍(24.2%)、女性で約3.5倍(15.2%)になっていることが示された。

ここで、1986-1990年生まれの30代前半(2020年時点)での未婚率が1976-1980年生まれの30代前半(2010年時点)での未婚率とほぼ同水準であることや、1976-1980年生まれの40代前半(2020年時点)での未婚率が1966-1970年生まれの40代前半(2010年時点)での未婚率と近い水準であることを踏まえると、未婚率の上昇は落ち着きつつあるように見える。
しかし、図表1で見た5年ごとの国勢調査ではなく、毎年の人口動態統計における25-29歳の初婚率を見ると、2019年から2021年にかけて、男性で4.642%→4.066%→3.783%、女性で5.627%→4.858%→4.496%と低下しており(図表略)、楽観できない状況になっている。
3|課題:社会の変化に合わせた年金制度の見直しをどの世代からどう適用していくか
厚生年金の全面改正(1954年)から約70年、国民年金の創設(1961年)から約60年、基礎年金の創設(1986年)から約35年が経過しており、社会の変化に合わせた見直しがこれまでも課題となってきた。
前述の状況変化を受けて、年金部会では、国民年金の第3号被保険者*1や老齢厚生年金における配偶者への加給年金*2、遺族厚生年金そのものやその中高齢寡婦加算*3などについて見直しを検討すべきという意見が、委員から出た。どのような見直しをどの世代からどう適用していくのか、今後の議論を注視したい。
*1 従前は厚生年金の定額部分に配偶者分も含まれたが、1986年から本人と配偶者の老齢基礎年金に分かれる形になった。
*2 従前は年齢を問わず加算されていたが、基礎年金の導入に伴い、妻が老齢基礎年金を受給できる65歳までの加算となった。
*3 従前は子の有無を問わず定額部分の半額を受給できたが、遺族基礎年金の導入時に就労の困難さに配慮して設けられた。
厚生年金の全面改正(1954年)から約70年、国民年金の創設(1961年)から約60年、基礎年金の創設(1986年)から約35年が経過しており、社会の変化に合わせた見直しがこれまでも課題となってきた。
前述の状況変化を受けて、年金部会では、国民年金の第3号被保険者*1や老齢厚生年金における配偶者への加給年金*2、遺族厚生年金そのものやその中高齢寡婦加算*3などについて見直しを検討すべきという意見が、委員から出た。どのような見直しをどの世代からどう適用していくのか、今後の議論を注視したい。
*1 従前は厚生年金の定額部分に配偶者分も含まれたが、1986年から本人と配偶者の老齢基礎年金に分かれる形になった。
*2 従前は年齢を問わず加算されていたが、基礎年金の導入に伴い、妻が老齢基礎年金を受給できる65歳までの加算となった。
*3 従前は子の有無を問わず定額部分の半額を受給できたが、遺族基礎年金の導入時に就労の困難さに配慮して設けられた。
(2023年04月11日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1859
経歴
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
中嶋 邦夫のレポート
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