2021年07月05日

金価格はどこまで下がるか?~米緩和縮小・利上げが逆風に

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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3.金融市場(6月)の振り返りと予測表

(10年国債利回り)
6月の動き 月初0.0%台後半でスタートし、月末は0.0%台半ばに。
月初、0.0%台後半で推移した後、米雇用統計を受けた量的緩和縮小観測の後退が金利低下圧力となり、10日には0.0%台半ばに。さらに米CPIを受けて「米物価上昇は一時的」との見方が広がり、11日には0.0%台前半に低下した。その後は持ち高調整が入ったうえ、FOMCを受けた米早期利上げ観測の台頭を受けて、17日には0.0%台半ばに持ち直す。下旬にはパウエル議長他FRB要人のハト派的発言が金利低下圧力となる一方で、米国でのインフラ投資合意が上昇圧力になるなど強弱材料が交錯し、月末も0.0%台半ばで終了した。
日米長期金利の推移(直近1年間)/日本国債イールドカーブの変化/日経平均株価の推移(直近1年間)/主要国株価の騰落率(6月)
(ドル円レート)
6月の動き 月初109円台半ばでスタートし、月末は110円台半ばに。
月初、良好な米経済指標の公表を受けて4日に110円台に乗せたものの、米雇用統計の予想割れを受けて、7日には109円台半ばに戻る。しばらく膠着した推移を経た後、持ち高調整のドル買いやタカ派的なFOMCを受けた米早期利上げ観測の台頭によってドルが上昇し、17日には110円台後半を付ける。さらに、下旬にはFRBによる早期利上げ観測が一服するなかで市場のリスク選好地合いが強まり、リスクオンの円売りによって24日には111円付近に上昇。月末は欧州やアジアでのコロナデルタ株拡大懸念からリスクオフの円買いが入り、110円台半ばで終了した。
ドル円レートの推移(直近1年間)/ユーロドルレートの推移(直近1年間)
(ユーロドルレート)
6月の動き 月初1.22ドル台前半でスタートし、月末は1.18ドル台後半に。
月初、良好な米経済指標の公表を受けてドルが買われ、4日には1.21ドル台前半へと下落。その後は一旦ユーロが持ち直したものの、ハト派色が目立ったECB理事会を受けて再び下落し、11日には1.21ドル台前半に。さらに、その後はタカ派的なFOMCを受けた米早期利上げ観測の台頭によってドルが上昇し、21日には1.19ドルを割り込んだ。月の終盤には米早期利上げ観測が一服し、ユーロが一旦強含んだものの、欧州でのデルタ株感染拡大懸念が重荷となり、月末は1.18ドル台後半で終了した。
金利・為替予測表(2021年7月5日現在)
 
 

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

(2021年07月05日「Weekly エコノミスト・レター」)

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