- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- ユーロ圏消費者物価(3月)-総合指数は20年2月以来となる1%超に
2021年04月01日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.結果の概要:20年2月以来の1%超
3月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)は3月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は+1.3%、市場予想1(+1.4%)を下回るものの、前月(+0.9%)から加速(図表1)
・前月比は+0.9%、予想(+1.0%)を下回り、前月(+0.2%)から加速
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は+0.9%、予想(+1.1%)を下回り、前月(+1.1%)から減速(図表2)
・前月比は+1.0%、前月(0.1%)から加速
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:エネルギーを除く財価格のインフレ率が大きく低下
3月のHICP上昇率(前年同月比)は、全体で+1.3%の伸び率となり、20年2月以来となる1%超えとなった。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は同+0.9%となり、2か月連続で減速している。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」(前年同月比+0.9%)の内訳を見ると、「エネルギーを除く財3」は1月1.5%→2月1.0%→3月0.3%と2か月連続で減速、年初は衣類などが価格を押し上げていたが、3月は0%台前半まで低下した。一方、「サービス」は1月1.4%→2月1.2%→3月1.3%と1%台前半の伸び率を維持している。
コア以外の部分では「エネルギー」が、3月は前年同月比4.3%となり、20年1月以来となるプラスに転じている。前年同月比寄与度では、0.42%ポイント程度と見られる(前掲図表1・2)。前年同月比での比較基準が20年3月となり、コロナ禍を受けて原油価格が急落した時期であることが伸び率や寄与度がプラスに転じた主因と言える。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」(前年同月比+0.9%)の内訳を見ると、「エネルギーを除く財3」は1月1.5%→2月1.0%→3月0.3%と2か月連続で減速、年初は衣類などが価格を押し上げていたが、3月は0%台前半まで低下した。一方、「サービス」は1月1.4%→2月1.2%→3月1.3%と1%台前半の伸び率を維持している。
コア以外の部分では「エネルギー」が、3月は前年同月比4.3%となり、20年1月以来となるプラスに転じている。前年同月比寄与度では、0.42%ポイント程度と見られる(前掲図表1・2)。前年同月比での比較基準が20年3月となり、コロナ禍を受けて原油価格が急落した時期であることが伸び率や寄与度がプラスに転じた主因と言える。
なお、国別のHICP上昇率を見ると、3月は前年同月比で見て19か国中16か国でインフレ率が加速し、18か国がプラス圏となっている(図表4・5)。
3 飲食料も除く。
4 ECBは2021年のウエイトの変更もインフレ率の押し上げに寄与していると指摘している(1月で約0.3%ポイントの押し上げ)。
3 飲食料も除く。
4 ECBは2021年のウエイトの変更もインフレ率の押し上げに寄与していると指摘している(1月で約0.3%ポイントの押し上げ)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年04月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/01 | ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/23 | IMF世界経済見通し-トランプ関税で世界成長率は3%割れに | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/18 | ECB政策理事会-トランプ関税を受け6会合連続の利下げ決定 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/16 | 英国雇用関連統計(25年3月)-緩やかながらも賃金上昇率の減速傾向が継続 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【ユーロ圏消費者物価(3月)-総合指数は20年2月以来となる1%超に】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ユーロ圏消費者物価(3月)-総合指数は20年2月以来となる1%超にのレポート Topへ