- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- コロナ禍に翻弄された1年と2021年の中国経済の見通し
この間の経済成長率を見ると、新型コロナで混迷し防疫を強化した20年1-3月期には成長率が実質で前年比6.8%減まで落ち込み、統計を遡れる1992年以来初めてとなるマイナス成長を記録した。その後、経済活動の再開に舵を切り全人代が開催された4-6月期には同3.2%増まで回復し、経済回復の初期にあたる7-9月期には同4.9%増と2四半期連続で持ち直し、内需拡大の施策が矢継ぎ早に打ち出された10-12月期にはさらに成長率が加速する見込みである。そして、20年通期では前年比2%前後のプラス成長を確保できる見通しである。
それでは、来たる21年の中国経済はどうなるのだろうか。まず、COVID-19の現況を確認してみると、相変わらず中国各地では散発的にクラスターが発生しているものの、新規確認症例は50名を下回る状態をキープしており、経済回復の流れは途切れていない。しかし、中国では来たる21年2月12日に春節(旧正月)を迎える。昨冬の春節に際し武漢では、「春節を祝う会(日本の忘年会・新年会に相当)」が大規模なクラスターを発生させるとともに、3億人とも言われる農民工(出稼ぎ労働者)の帰省ラッシュがCOVID-19を中国全土に広げることとなってしまった。したがって、ワクチンの普及が間に合わない今冬は、春節を祝う会や帰省ラッシュなどで“三密”になるのを抑制せざるを得ず、経済回復よりも防疫管理を優先して行動制限をかけることになるだろう。そして、21年1-3月期の成長率は20年10-12月期と比べた前期比でマイナスに落ち込むだろう。ただし、世界が注目する前年比に関しては、比較対象となる前年同期が極端に低かったため、その反動で前年比14%前後の高い伸びを示すだろう。
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
(2021年01月06日「ニッセイ年金ストラテジー」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年05月24日
職場におけるストレスチェックの現状~ストレスチェックの効果検証と、小規模事業所の実施や集団分析の実施が議題に -
2024年05月24日
「名古屋オフィス市場」の現況と見通し(2024年) -
2024年05月24日
消費者物価(全国24年4月)-コアCPIの伸びは2ヵ月連続で鈍化したが、電気代の値上げで5月に上昇率が急拡大する見込み -
2024年05月24日
新卒者の就職難(中国) -
2024年05月23日
Japan's Economic Outlook for Fiscal Years 2024 and 2025 (May 2024)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【コロナ禍に翻弄された1年と2021年の中国経済の見通し】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
コロナ禍に翻弄された1年と2021年の中国経済の見通しのレポート Topへ