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- 年金改革ウォッチ 2020年10月号~ポイント解説:公的年金財政と積立金運用
2020年10月06日
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1 ―― 先月までの動き
年金数理部会は、財政検証の推計方法について厚生労働省、財務省、総務省、文部省にヒアリングを実施し、前回(5年前)に同部会が指摘した事項への対応状況、年金数理担当者の所見などの報告を受けた。年金事業管理部会は、日本年金機構の令和元年度業務実績について、概ね年度計画を達成と評価した。また、急務と位置付けられた業務のオンライン・ビジネスモデルへの転換について、説明を受けた。企業年金・個人年金部会は、8月に実施したヒアリングの結果を受けて検討を深めた。
○社会保障審議会 年金数理部会
9月3日(第85回) 令和元年財政検証のヒアリング
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198131_00013.html (資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
9月10日(第51回) 日本年金機構の令和元年度業務実績の評価ほか
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo51_00001.html (資料)
○社会保障審議会 企業年金・個人年金部会
9月30日(第15回) DCの拠出限度額、DBの掛金設定の弾力化
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13849.html (資料)
○社会保障審議会 年金数理部会
9月3日(第85回) 令和元年財政検証のヒアリング
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198131_00013.html (資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
9月10日(第51回) 日本年金機構の令和元年度業務実績の評価ほか
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo51_00001.html (資料)
○社会保障審議会 企業年金・個人年金部会
9月30日(第15回) DCの拠出限度額、DBの掛金設定の弾力化
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13849.html (資料)
2 ―― ポイント解説:公的年金財政と積立金運用
8月5日の資金運用部会*1では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の令和元年度業務実績評価や第3期中期目標期間実績評価が議論された。本稿では、積立金運用の基本的な見方を踏まえた上で、積立金運用の状況を確認する。
*1 議事録が9月に公表されたため、先々月の開催だが本号で取り上げる。
*1 議事録が9月に公表されたため、先々月の開催だが本号で取り上げる。

運用利回りが年金財政に与える影響を見る際は、保険料収入や給付額が基本的には賃金上昇率に連動することを踏まえて、運用利回りから賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」が指標となる。
運用利回りの実績が年金財政にどのような影響を与えるかは、年金財政の将来見通し(財政検証)の前提との比較で計られる。将来見通しの前提のうち当初10年分は内閣府の経済見通しを基に作成され、少なくとも5年ごとに改定される。このため、運用利回りの実績の比較対象は、常に内閣府の経済見通しを基にした前提となる。近年は、実質的な運用利回りの前提がマイナスの年度もあるため、実績が前提を上回る状態になっている。

GPIFの資産構成は、厚生労働大臣が課す長期的な運用目標を達成するように設定される。運用目標の利回りは、財政検証の長期的な前提を基に設定されており、前述した当面10年分の前提よりも高い。「長期」の具体的な年数は明示されていないが、GPIFは年金積立金の市場運用が始まった2001年度やGPIFが設立された2006年度を起点とした平均運用利回りと目標を比較している。
ただ、2019年に公表された財政検証では、運用目標が将来見通しごとに設定されることを考慮して、過去10年間の平均を用いて運用利回りの前提が作成された。現在のような特定の時点を起点にした平均値だけでなく、10年間のような一定期間の平均値がどのように活用されていくかに注目したい。
(2020年10月06日「保険・年金フォーカス」)
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経歴
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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