2019年04月23日

米個人消費の減速は一時的か-1-3月期は伸び鈍化も4月以降の回復を予想

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
  1. 米個人消費には陰りがみられる。好調が見込まれていた18年の年末商戦は前年比+2.9%(前年:同+5.3%)と、事前予想(同+4.3~4.8%)を大幅に下回る期待外れの結果となった。11月まで好調であった小売売上高が、12月に予想外に落込んだことが大きい。また、GDPにおける個人消費も18年10―12月期が前期比年率+2.5%に留まり、3%台半ば~後半であった前2四半期から伸びが大幅に鈍化した。
     
  2. 12月の消費不振は、月初からの株式市場の大幅下落や、下旬からの連邦政府機関の一部閉鎖などが影響した可能性が考えられる。もっとも、他の指標との不整合を指摘する声もあり、政府閉鎖に伴う小売統計の精度への疑義も生じている。
     
  3. 小売統計などからは26日公表される19年1―3月の個人消費は前期から伸びがさらに鈍化する可能性が高い。
     
  4. 一方、19年初から株式市場が上昇に転じたほか、長期金利は低水準に留まっており、金融環境は消費に追い風となっている。また、労働市場や家計のバランスシート、消費者センチメントなど個人消費を取り巻く環境は引き続き良好であり、4月以降は再び消費の伸びが加速することが見込まれる。
(図表1)個人消費支出(主要項目別)
■目次

1.はじめに
2.年末商戦および1-3月期の消費動向
  (年末商戦の結果)
   :前年、市場予想を大幅に下回る。12月の小売売上が09年以来の落ち込み
  (12月消費不振の要因)
   :株価下落、連邦政府機関の一部閉鎖等が影響した可能性
  (19年1-3月期の個人消費)
   :18年10―12月期から伸びはさらに鈍化する見込み
3.個人消費を取り巻く環境、今後の見通し
  (金融環境の改善)
   :株価は昨年の高値を窺う一方、長期金利は低水準を維持
  (労働市場の回復持続)
   :労働需給の逼迫が持続する中、賃金上昇は加速し易い状況
  (家計バランスシート)
   :家計純資産は高水準、負債の負担も限定的
  (今後の見通し)
   :4月以降、消費の伸びは再加速も、18年の3%台半ば~後半の伸びは下回る
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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