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医療・介護連携政策下における患者の受療行動
保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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1――はじめに
これにともない、人口の将来推計をもとに、団塊の世代が75歳以上になる2025年に必要となる高度急性期、急性期、回復期、慢性期、それぞれの病床数を推計し、それに向けて病床を再編・統合することで医療資源の集約化・効率化を図る取組みが進められている(地域医療構想)。
また、外来の機能分化や医師の負担軽減の観点から、紹介状なしで大病院1に行く場合は、特別な場合2を除き、5,000円以上の定額負担を求められるようになった。
病床や医療機関の機能分化を進めるためには、患者の意識や受療行動の変化も重要だと思われる。本稿では、治療を受ける側である患者の受療行動に関する最近の動向について紹介をする。
1 2016年4月は500床以上の病院が対象。2018年4月から400床以上の病院に対象が拡大した。
2 (1) 救急患者、(2) 公費負担医療の対象患者、(3) 無料低額診療事業の対象患者、(4) HIV感染者、(5) 自施設の他科を受診中の患者、(6) 医科・歯科の院内紹介患者、(7) 特定健診、がん検診等の結果で精密検査の指示があった患者、等
2――最近の受療動向
厚生労働省による「受療行動調査」によると、外来患者が病気等において、受診したのは、病院全体で「最初から今日来院した病院を受診」が最も多く(54.2%)、次いで「最初は他の病院を受診」(27.3%)、「最初は診療所・クリニック・医院を受診」(15.1%)と続いていた(図表1)。
病院の規模別に見ると、特定機能病院や規模が大きい病院ほど「最初から今日来院した病院を受診」が低く、他の診療所や病院を経て、来院する傾向がある。2014年調査と2017年調査を比較すると、特定機能病院や規模が大きい病院でより「最初から今日来院した病院を受診」が減少しており、紹介状なしの大病院の定額負担の導入が影響している可能性がある。
3――おわりに
一方、外来における機能分化は、患者の理解が重要だと思われる。最初から大病院を受診する割合は減少傾向にあることから、紹介状なしの大病院の定額負担は、一定程度の抑制があった可能性があるが、医療機関の機能分化や医師の負担の軽減につながるような大きな変化は現在のところない。
医療機関の機能分化に関して、今後も患者への周知を行う必要があるだろう。
(2019年01月22日「保険・年金フォーカス」)
03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
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