2018年11月21日

【10月米住宅着工、許可件数】着工件数は122.8万件、許可件数は126.3万件と全体では予想並みも、戸建てが軟調

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともにほぼ予想並みの結果

 11月20日、米国センサス局は10月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は122.8万件(前月改定値:121.0万件)と、120.1万件から上方修正された前月値を上回ったものの、市場予想の122.8万件(Bloomberg集計の中央値)に一致した(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は126.3万件(前月改定値:127.0万件)と、こちらは124.1万件から上方修正された前月値を下回った一方、市場予想の126.0万件は小幅ながら上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建ての回復が鈍い

住宅着工件数の伸びは、前月比+1.5%(前月:▲5.5%)となった(図表3)。集合住宅が+10.3%(前月:▲15.6%)と前月から大幅に増加して全体を押上げた一方、戸建ては▲1.8%(前月:▲1.0%)と2ヵ月連続でマイナスとなった。

一方、前年同月比は▲2.9%(前月:+4.5%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。集合住宅が▲3.7%(前月:+0.6%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、戸建ても▲2.6%(前月:+6.0%)とこちらも4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲3.7%ポイント(前月+2.6%ポイント)、西部が▲1.3%ポイント(前月比:+1.1%ポイント)と前月からマイナスに転じた一方、中西部が+4.3%ポイント(前月:▲2.3%ポイント)、南部が+2.2%ポイント(前月:▲6.9%ポイント)と前月からプラスに転じるなど地域によってまちまちとなった(図表4)。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲0.6%(前月:+1.7%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが▲0.6%(前月:+3.3%)と前月からマイナスに転じたほか、集合住宅が▲0.5%(前期:▲1.4%)とこちらは7ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。

前年同月比も▲6.0%(前月:+1.3%)前月からマイナスに転じた。集合住宅が▲15.3%(前月:▲1.7%)と5ヵ月連続でマイナスとなったほか、戸建てが▲0.6%(前月:+2.8%)と14年4月以来のマイナスとなった。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(地域別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、11月が60(前月:68)と前月から8ポイントの大幅な低下となった(図表7)。16年8月以来の水準を保っているものの、低下幅は14年2月(▲10ポイント)以来の落ち込み幅となっており、センチメントが急激に悪化したことを示した。

NAHBは悪化の要因として、住宅ローン金利や住宅価格の上昇によって消費者の住宅取得能力が低下していることへの懸念を挙げているため、金利や住宅価格上昇が続く中では、戸建住宅の回復が遅れる可能性が高いとみられる。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2018年11月21日「経済・金融フラッシュ」)

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