- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 企業物価指数(2018年8月)~国内企業物価の上昇基調は一服~
2018年09月13日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.国内企業物価は上昇基調が一服
9月13日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2018年8月の国内企業物価は前年比3.0%(7月:同3.1%)と上昇率は前月から0.1ポイント縮小し、事前の市場予想(QUICK集計:同3.1%)を小幅に下回った。伸び率は20ヵ月連続でプラスとなっており、7月以降は3%台で推移している。
前月比では0.0%(7月:同0.4%)の横ばい。7~9月に適用される夏季電力料金の引き上げの影響を除いたベースでは前月比0.0%(7月:同0.2%)となり、伸び率は5月の同0.5%をピークに3ヵ月連続で鈍化した。国内企業物価の上昇基調は一服している。
前月比では0.0%(7月:同0.4%)の横ばい。7~9月に適用される夏季電力料金の引き上げの影響を除いたベースでは前月比0.0%(7月:同0.2%)となり、伸び率は5月の同0.5%をピークに3ヵ月連続で鈍化した。国内企業物価の上昇基調は一服している。

国内企業物価の前月比寄与度をみると、電力・都市ガス・水道と素材(その他)のプラス寄与を非鉄金属と石油・石炭製品のマイナス寄与が打ち消し、全体では横ばいとなった。
2.輸入物価は5ヵ月ぶりに下落

石油・石炭・液化天然ガス(7月:前月比0.6%→8月:同0. 5%)は、石油・同製品(前月比▲0.1%)が小幅に下落したものの、天然ガス(同3.5%)の上昇を受けてプラスを維持している。金属・同製品(7月:前月比▲0.3%→8月:同▲5.4%)は、金属素材(前月比▲10.0%)や非鉄金属(同▲3.9%)の下落を受けて、下落率が大きく拡大した。
輸入物価(契約通貨ベース)の前月比寄与度をみると、石油・石炭・天然ガスのプラス寄与が縮小する中、金属・同製品が輸入物価の下落に大きく寄与した。
原油価格は米国のイラン経済制裁による供給懸念などから高値圏で推移しているものの伸び率が鈍化しており、非鉄金属は米中貿易摩擦の懸念などから軟調に推移していることから、輸入物価は横ばい圏での推移が続くと見込まれる。また、足もとのドル円相場は動意に乏しく輸入物価に与える影響は限定的となろう。
3.先行きは川上から川下への上昇圧力が弱まる

川上にあたる素原材料の大幅上昇を受けて、緩やかながら川下の最終財への価格転嫁の動きが進んでいる。消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比0.9%と4ヵ月連続のプラスとなっている。
ただし、世界経済の回復に伴う需要拡大から上昇傾向にあった国際商品市況は、米中貿易摩擦の激化による世界経済への先行き懸念から頭打ちとなっている。前年比でみた素原材料は伸び率が鈍化することで、先行きは川上から川下への上昇圧力が弱まってくると見込まれる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年09月13日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
白波瀨 康雄
白波瀨 康雄のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2019/04/05 | 都道府県別にみたホテルの稼働率予測ーインバウンド拡大に伴う建設が進み、一部地域では供給過剰も | 白波瀨 康雄 | 基礎研マンスリー |
2019/02/18 | 都道府県別にみた宿泊施設の稼働率予測~インバウンド拡大に伴うホテル建設が進み、一部地域では供給過剰も~ | 白波瀨 康雄 | 基礎研レポート |
2019/01/29 | 広がる物価の世代間格差~先行きは消費税率引き上げに伴い一段と拡大~ | 白波瀨 康雄 | 研究員の眼 |
2018/12/12 | 企業物価指数(2018年11月)~石油製品の下落を受けて前月比で8ヵ月ぶりの下落~ | 白波瀨 康雄 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月25日
今週のレポート・コラムまとめ【3/18-3/24発行分】 -
2025年03月24日
なぜ「ひとり焼肉」と言うのに、「ひとりコンビニ」とは言わないのだろうか-「おひとりさま」消費に関する一考察 -
2025年03月24日
若い世代が求めている「出会い方」とは?-20代人口集中が強まる東京都の若者の声を知る -
2025年03月24日
中国:25年1~3月期の成長率予測-前期から減速。目標達成に向け、政策効果でまずまずの出だしに -
2025年03月24日
パワーカップル世帯の動向-2024年で45万世帯に増加、うち7割は子のいるパワーファミリー
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【企業物価指数(2018年8月)~国内企業物価の上昇基調は一服~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
企業物価指数(2018年8月)~国内企業物価の上昇基調は一服~のレポート Topへ