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介護保険の自己負担、8月から最大3割に~求められる一層の財源確保、給付抑制の議論~
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
要介護状態となった高齢者が介護保険サービスを利用する際の自己負担が8月から最大3割に引き上げられた。介護保険は2000年度の制度創設後、所得に関わらず一律1割負担を継続していたが、2015年8月に2割負担を導入したばかりであり、今回の自己負担引き上げは矢継ぎ早の制度改正という見方が可能である。
では、なぜ矢継ぎ早の制度改正が必要だったのだろうか。この問いを理解する上では、介護保険財政の構造や動向などを踏まえる必要がある、そして、その現状を詳しく見ると、財源確保策の一つとして自己負担の引き上げが採用されたこと、一層の財源確保あるいは給付抑制の議論が必要なことが浮き彫りとなる。
本稿は自己負担引き上げの概要とともに、介護保険財政に関する考察を通じて、自己負担が引き上げられた理由や、今後の見通しなどを模索する。
■目次
1――はじめに~介護保険の今後を模索する~
2――介護保険の自己負担をめぐる状況
1|3割負担の対象者は約12万人
2|制度導入当初の議論
3――介護保険の財政状況
1|介護保険の財源構造
2|高齢者が支払う保険料の上昇
4――今回の引き上げの意味
1|応益負担から応能負担に
2|政令で定めている意味合い
3|想定される影響
5――おわりに
03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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