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高齢者医療費の自己負担引き上げは是か非か-「骨太方針2018」を通じて背景と論点を考える
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
中長期的な経済財政運営や2019年度予算編成の方向性を定める「骨太方針2018」(経済財政運営と改革の基本方針2018)が6月15日、閣議決定された。財政再建目標を設定し直した一方、歳出改革の目安を示さないなど、財政再建に向けて消極的な内容となったが、医療・介護分野では75歳以上の後期高齢者が医療機関にかかった場合の自己負担引き上げを検討する方針などが盛り込まれた。
では、高齢者の自己負担引き上げは必要なのだろうか。引き上げる場合、どういった点に考慮すべきなのだろうか。本レポートでは骨太方針2018の記述を見つつ、高齢者医療費に関する自己負担の現状、自己負担引き上げが浮上した背景や論点などを論じ、年齢に着目して負担割合を区切っている現在の仕組みを見直すことが一つの選択肢であることを指摘する。その上で、単なる財源論にとどまらない観点に立ち、引き上げを巡る論点などを提示する。
■目次
1――はじめに~自己負担を引き上げるべきか否か~
2――骨太方針2018の記述
1|財政再建計画に向けたコミットメント
2|消えた「引上げ」の文言
3――引き上げ論浮上の背景
1|自己負担を巡る世代間格差
2|持続可能性の観点から見た現状
4――自己負担を巡る歴史的な視点
1|15年前に漸く統一した自己負担割合
2|年齢に着目した自己負担は45年前に開始
3|歴史的な経緯から見えること
5――自己負担引き上げの可能性と留意点
1|自己負担引き上げは不可避?
2|社会保障費の負担を巡る2つの考え方に基づく整理
3|患者が医師を指名する制度と連動させる観点
6――おわりに
03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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