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- 開始から1年、プレミアム・フライデー-利用は3%、雇用形態で非利用理由に差、生産性向上と施策の柔軟性が必要
2018年03月07日
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1―高い認知度の一方、低い利用率

弊社の調査1では認知度は94.5%と非常に高く、70代を除くと性別や年代、職業によらず9割を超える。
一方で利用率は非常に低い。開始直後の昨年2・3月の利用状況は、全体(無職を含む)で「勤務先では導入されなかった」が過半数を占め、「1回以上利用した」はわずか3%だ。
なお、民間企業の正規雇用者では「勤務先では導入されなかった」が80.7%、「1回以上利用した」が4.2%だ。利用率が高いのは、旗振り役の「公務員」、民間企業では「大企業」や「電気・ガス・熱供給・水道業」だ。電気やガスなどのインフラ企業では、デパートや飲食店とは違い、プレミアム・フライデーでも業務繁忙とはなりにくい。一方、当初からサービス業などでは人手が必要となり早帰りしにくいことが懸念されていた。また、業種によらず、仕事量が減らない中で早帰りだけを導入することは難しい。
1 「家計消費と生活不安に関する調査」、調査対象:全国の20~70歳代の一般個人、調査手法:ネットリサーチ、実施時期:2017/4/6~4/13、調査機関:(株)マクロミル
2―正規は仕事終わらず、非正規は対象外?収入減が嫌で利用しない
3―食事や買い物、「自宅で過ごした」が多く、可処分所得で違いも
4―課題~生産性の向上と柔軟性
利用拡大に向けては生産性向上をセットで進める必要がある。仕事量が減らないことには、他の平日の残業につながりかねない。また、業種や職種により繁忙期は異なるため、実施日に柔軟性も必要だ。例えば、業種によっては客の少ない別の曜日にする、同じ会社の中でも部署ごとに実施日をずらすといった工夫もできる。
景気は緩やかな回復基調にあるが、労働者一人当たりの実質賃金は伸び悩んでいる。高齢化が進む中、国民全体で漠然とした将来不安も漂う。消費意欲に火をつけるためには、可処分所得の引き上げなども進める必要がある。
景気は緩やかな回復基調にあるが、労働者一人当たりの実質賃金は伸び悩んでいる。高齢化が進む中、国民全体で漠然とした将来不安も漂う。消費意欲に火をつけるためには、可処分所得の引き上げなども進める必要がある。
(2018年03月07日「基礎研マンスリー」)

03-3512-1878
経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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