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- 貿易統計18年1月-輸出は好調を維持するが、春節の影響を割り引く必要あり
2018年02月19日
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1.貿易収支は季節調整値では黒字幅が拡大
財務省が2月19日に公表した貿易統計によると、18年1月の貿易収支は▲9,434億円と8ヵ月ぶりの赤字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:▲10,036億円、当社予想は▲10,582億円)を上回る結果となった。輸出が前年比12.2%(12月:同9.3%)と前月から伸びを高める一方、輸入が前年比7.9%(12月:同14.9%)と伸びが大きく低下したため、貿易収支は前年に比べ1,485億円の改善となった。
新型スマートフォン発売に伴い17年末にかけて急増した通信機輸入の伸びが大きく鈍化(12月:前年比55.8%→1月:同3.1%)したことが輸入全体の伸びを押し下げた。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比9.2%(12月:同4.5%)、輸出価格が前年比2.8%(12月:同4.6%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比2.6%(12月:同5.9%)、輸入価格が前年比5.2%(12月:同8.5%)であった。
新型スマートフォン発売に伴い17年末にかけて急増した通信機輸入の伸びが大きく鈍化(12月:前年比55.8%→1月:同3.1%)したことが輸入全体の伸びを押し下げた。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比9.2%(12月:同4.5%)、輸出価格が前年比2.8%(12月:同4.6%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比2.6%(12月:同5.9%)、輸入価格が前年比5.2%(12月:同8.5%)であった。
原数値の貿易収支は8ヵ月ぶりの赤字となったが、1月は正月休みの影響で輸出量が少なく貿易赤字になりやすいという季節性があり、貿易収支の実勢を判断するためには季節調整値を用いることが適切である。季節調整済の貿易収支は3,733億円の黒字となり、17年12月の907億円から黒字幅が拡大した。輸出が前月比▲1.1%(12月:同1.1%)の減少となったが、輸入が前月比▲5.2%(12月:同4.9%)と輸出を上回る減少となったことが貿易収支の改善に寄与した。
2.輸出は好調を続けるが、1月は春節の影響で押し上げ
1月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比4.2%(12月:同2.8%)、EU向けが前年比9.6%(12月:同1.6%)、アジア向けが前年比9.7%(12月:同2.6%)となった。
季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比▲5.2%(12月:同▲3.1%)、EU向けが前月比0.7%(12月:同1.6%)、アジア向けが前月比▲0.0%(12月:同▲0.3%)、全体では前月比▲0.9%(12月:同1.3%)となった。
18年1月の輸出数量指数(季節調整値)を17年10-12月期と比べると、米国向けは▲4.7%低いが、EU向けは1.9%、アジア向けは1.3%、全体では0.5%高い水準となっている。
自動車輸出の不振が続く米国向けはこのところ弱めの動きとなっているが、EU向け、アジア向けは好調を維持している。ただし、1月のアジア向けの高い伸びは中華圏の春節の時期が昨年とずれていることによる影響が大きい。特に、中国向けの輸出数量は12月の前年比8.6%から同27.6%へと急速に伸びを高めた。アジア向けの輸出は2月には伸びが大きく鈍化する可能性が高く、基調を判断するためには2月分と合わせてみる必要がある。
一方、1月の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前月比▲7.3%(12月:同7.1%)と急低下した。17年末にかけての通信機急増の反動による部分が大きいため、輸入の基調が弱まっているわけではないが、1-3月期の輸入数量指数は前期比でマイナスとなる公算が大きい。
17年10-12月期のGDP統計では、輸出が前期比2.4%の高い伸びとなったものの、輸入が同2.9%とそれを上回る伸びとなったため、外需寄与度が前期比▲0.0%と小幅なマイナスとなった。17年1-3月期は輸出が底堅さを維持する一方、10-12月期の反動で輸入の伸びが大きく低下することから、外需が再び成長率の押し上げ要因となることが予想される。
季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比▲5.2%(12月:同▲3.1%)、EU向けが前月比0.7%(12月:同1.6%)、アジア向けが前月比▲0.0%(12月:同▲0.3%)、全体では前月比▲0.9%(12月:同1.3%)となった。
18年1月の輸出数量指数(季節調整値)を17年10-12月期と比べると、米国向けは▲4.7%低いが、EU向けは1.9%、アジア向けは1.3%、全体では0.5%高い水準となっている。
自動車輸出の不振が続く米国向けはこのところ弱めの動きとなっているが、EU向け、アジア向けは好調を維持している。ただし、1月のアジア向けの高い伸びは中華圏の春節の時期が昨年とずれていることによる影響が大きい。特に、中国向けの輸出数量は12月の前年比8.6%から同27.6%へと急速に伸びを高めた。アジア向けの輸出は2月には伸びが大きく鈍化する可能性が高く、基調を判断するためには2月分と合わせてみる必要がある。
一方、1月の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前月比▲7.3%(12月:同7.1%)と急低下した。17年末にかけての通信機急増の反動による部分が大きいため、輸入の基調が弱まっているわけではないが、1-3月期の輸入数量指数は前期比でマイナスとなる公算が大きい。
17年10-12月期のGDP統計では、輸出が前期比2.4%の高い伸びとなったものの、輸入が同2.9%とそれを上回る伸びとなったため、外需寄与度が前期比▲0.0%と小幅なマイナスとなった。17年1-3月期は輸出が底堅さを維持する一方、10-12月期の反動で輸入の伸びが大きく低下することから、外需が再び成長率の押し上げ要因となることが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年02月19日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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