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- 【9月米個人所得・消費支出】個人消費(前月比)は+1.0%、ハリケーン後の復興需要を背景に自動車関連が大幅増加
2017年10月31日
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1.結果の概要:個人所得、消費ともに前月から伸びが加速、個人消費は予想を上回る
10月30日、米商務省の経済分析局(BEA)は9月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.4%(前月値:+0.2%)となり、前月から伸びが加速、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%に一致した。個人消費支出(名目値)は、前月比+1.0%(前月値:+0.1%)と、前月から大幅に伸びが加速、市場予想の+0.9%も上回った(図表1)。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は前月比+0.6%(前月値:▲0.1%)と、こちらも前月のマイナスからプラスに転換、市場予想の+0.5%を上回った(図表5)。貯蓄率1は3.1%(前月:3.6%)と前月から大幅に低下した。
一方、価格指数は、総合指数が前月比+0.4%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速、市場予想の+0.4%に一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月値:+0.1%)と、こちらは前月、市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。前年同月比では、総合指数が+1.6%(前月:+1.4%)と、こちらは5ヵ月ぶりに前月から伸びが加速、市場予想(+1.6%)には一致した。コア指数は+1.3%(前月:+1.3%)と、こちらは前月、市場予想(+1.3%)に一致した(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
一方、価格指数は、総合指数が前月比+0.4%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速、市場予想の+0.4%に一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月値:+0.1%)と、こちらは前月、市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。前年同月比では、総合指数が+1.6%(前月:+1.4%)と、こちらは5ヵ月ぶりに前月から伸びが加速、市場予想(+1.6%)には一致した。コア指数は+1.3%(前月:+1.3%)と、こちらは前月、市場予想(+1.3%)に一致した(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:ハリケーンの復興需要もあり、消費は大幅に増加

ハリケーンの影響について、BEAは数量的な評価は困難としており、影響額を公表していない。しかしながら、消費の中身をみると自動車関連や、名目ベースのガソリン・エネルギー消費の増加が顕著となっていることから、ハリケーンに伴う復興需要や、ガソリン価格急騰が名目消費を持ち上げていると考えられる。
物価(前年同月比)は、コア指数が15年11月以来の水準となった前月から横這いとなる一方、総合指数が底打ちしており、エネルギー価格上昇が物価を押し上げる構図となった。もっとも、ガソリン価格は9月にピークをつけて10月以降は下落に転じていることから、ハリケーンの影響による物価の押し上げは一時的だろう。
3.所得動向:賃金・給与の伸びが回復
4.消費動向:復興需要から自動車が好調、ガソリン高からガソリン・エネルギー消費も増加
名目個人消費(前月比)は、サービス消費が+0.5%(前月:+0.2%)と、前月から伸びが加速したほか、財消費が+2.1%(前月:横這い)と大幅な加速となった(図表4)。
財消費では、耐久財が+3.2%(前月▲1.5%)と前月のマイナスからプラスに転じた。これは、ハリケーンからの復興需要で自動車・自動車部品が+9.7%(前月:▲3.7%)と急回復したことが大きい。一方、非耐久財も+1.5%(前月:+0.8%)と伸びが加速した。こちらは、ガソリン価格が上昇したため、ガソリン・エネルギーが+10.5%(前月:+6.2%)と、大幅な増加となった前月から、さらに伸びが加速したことが大きい。ちなみに実質ベースでは▲1.5%(前月:+0.4%)と減少しており、ガソリン・エネルギーの需要が増加している訳ではない。
サービス消費は、金融・保険が+0.2%(前月:+0.7%)と前月から伸びが鈍化したものの、住宅・公共料金が+0.6%(前月:横這い)と前月から伸びが加速したほか、娯楽が+1.5%(前月:+0.2%)、外食・宿泊が+1.1%(前月:+0.3%)が前月から大幅な伸びとなった。
財消費では、耐久財が+3.2%(前月▲1.5%)と前月のマイナスからプラスに転じた。これは、ハリケーンからの復興需要で自動車・自動車部品が+9.7%(前月:▲3.7%)と急回復したことが大きい。一方、非耐久財も+1.5%(前月:+0.8%)と伸びが加速した。こちらは、ガソリン価格が上昇したため、ガソリン・エネルギーが+10.5%(前月:+6.2%)と、大幅な増加となった前月から、さらに伸びが加速したことが大きい。ちなみに実質ベースでは▲1.5%(前月:+0.4%)と減少しており、ガソリン・エネルギーの需要が増加している訳ではない。
サービス消費は、金融・保険が+0.2%(前月:+0.7%)と前月から伸びが鈍化したものの、住宅・公共料金が+0.6%(前月:横這い)と前月から伸びが加速したほか、娯楽が+1.5%(前月:+0.2%)、外食・宿泊が+1.1%(前月:+0.3%)が前月から大幅な伸びとなった。
5.価格指数:エネルギー価格が前月比、前年同月比ともに大幅に伸びが加速
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年10月31日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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