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- 法人企業統計16年7-9月期~企業収益は最悪期を脱しつつあるが、経常利益の伸びは特殊要因でかさ上げ
2016年12月01日
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1.経常利益は4四半期ぶりの増加
一方、非製造業の売上高経常利益率は5.3%となり15年7-9月期の4.3%から大きく改善した。売上高が前年比▲0.7%(4-6月期:同▲2.8%)と減少が続く中、人件費が前年比1.5%(4-6月期:同▲0.2%)と増加に転じたため、製造業と同様に人件費は利益率の悪化要因となっているが、金融費用の減少が利益率を大きく押し上げた。ただし、後述するように非製造業の利益率改善のほとんどが特殊要因によるものと考えられる。
2.サービス業の経常利益が特殊要因で急増
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業では、情報通信(前年比17.0%)、金属製品(同11.8%)は増加に転じたが、鉄鋼(同▲59.0%)、生産用機械(同▲31.0%)、輸送用機械(同▲38.2%)などは前年比二桁の大幅減益が続いた。非製造業では、個人消費の低迷、インバウンド需要の鈍化などを受けて卸売・小売業は前年比▲3.3%と3四半期連続の減益となったが、サービス業が前年比109.9%の急増となったことが全体を押し上げた。
ただし、サービス業の大幅増益は特殊要因によるものである可能性が高いことには注意が必要だ。サービス業は営業利益が前年比▲1.1%の減少となったが、受取利息等が前年から10倍以上の急増となったことが経常利益を大きく押し上げた。純金融費用(支払利息等-受取利息等)の減少だけでサービス業の経常利益は100%以上押し上げられた。受取利息等の急増は子会社からの配当金などによるものと考えられるが、これは持続的なものとは考えられず、特殊要因と捉えるべきだろう。
7-9月期の経常利益(全産業)はサービス業だけで14.7%押し上げられており、サービス業を除けば前年比▲3%程度の減益となる。特殊要因を除けば4-6月期の前年比▲10.0%から減益幅が縮小したという評価が妥当だろう。
ただし、サービス業の大幅増益は特殊要因によるものである可能性が高いことには注意が必要だ。サービス業は営業利益が前年比▲1.1%の減少となったが、受取利息等が前年から10倍以上の急増となったことが経常利益を大きく押し上げた。純金融費用(支払利息等-受取利息等)の減少だけでサービス業の経常利益は100%以上押し上げられた。受取利息等の急増は子会社からの配当金などによるものと考えられるが、これは持続的なものとは考えられず、特殊要因と捉えるべきだろう。
7-9月期の経常利益(全産業)はサービス業だけで14.7%押し上げられており、サービス業を除けば前年比▲3%程度の減益となる。特殊要因を除けば4-6月期の前年比▲10.0%から減益幅が縮小したという評価が妥当だろう。
季節調整済の経常利益は前期比7.9%(4-6月期:同7.5%)と2四半期連続で増加した。製造業(4-6月期:前期比6.7%→7-9月期:同5.1%)、非製造業(4-6月期:前期比7.8%→7-9月期:同9.1%)ともに2四半期連続の増加となった。
この結果、16年7-9月期の経常利益(季節調整値)は18.5兆円となり、過去最高だった15年4-6月期の19.2兆円に次ぐ過去2番目の高さとなった。製造業はピーク時(14年10-12月期)よりも2割以上低いが、非製造業はそれまでのピークだった15年4-6月期を上回り過去最高水準となった。
この結果、16年7-9月期の経常利益(季節調整値)は18.5兆円となり、過去最高だった15年4-6月期の19.2兆円に次ぐ過去2番目の高さとなった。製造業はピーク時(14年10-12月期)よりも2割以上低いが、非製造業はそれまでのピークだった15年4-6月期を上回り過去最高水準となった。
(2016年12月01日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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