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- 図表でみる中国経済(輸入編)~世界の消費地として注目される中国はどこから何を輸入しているのか?
2016年08月15日
■要旨
本稿は、中国経済をこれから学ぼうとお考えの方々を対象に、新聞記事やレポートでは通常前提として省略されることが多い基礎的な経済データを、図表を用いて分かり易く解説し、理解を深めていただくことを趣旨としている。今回はその第八回目として、中国の「輸入」を取り上げ、世界の消費地として注目される中国はどこから何を輸入しているのかを、各種の図表を用いて解説している。中国経済に関する新聞記事やレポートを読む上で、その一助となれば幸いである。
■目次
1――中国の輸入構造(概要)
2――主要商品別の輸入シェアは?
3――輸入急増の消費財も出現!
本稿は、中国経済をこれから学ぼうとお考えの方々を対象に、新聞記事やレポートでは通常前提として省略されることが多い基礎的な経済データを、図表を用いて分かり易く解説し、理解を深めていただくことを趣旨としている。今回はその第八回目として、中国の「輸入」を取り上げ、世界の消費地として注目される中国はどこから何を輸入しているのかを、各種の図表を用いて解説している。中国経済に関する新聞記事やレポートを読む上で、その一助となれば幸いである。
■目次
1――中国の輸入構造(概要)
2――主要商品別の輸入シェアは?
3――輸入急増の消費財も出現!
1――中国の輸入構造(概要)
中国では経済成長の鈍化に伴って輸入も減少傾向にある。2015年の輸入金額(ドルベース)は1兆6819億ドルと前年比14.2%減、2016年上期(1-6月期)も同10.2%減と2桁減が続いている。
相手先別のシェア(2015年)を見ると、第1位は韓国の10.4%、第2位は米国の8.8%、第3位は日本と台湾の8.5%となっている。欧州ではドイツの5.2%が最大で、EU離脱の道を歩み始めた英国は1.1%、EU全体では12.5%となっている。また、10年前(2005年)に比べると日本、台湾、韓国などがシェアを落とした一方、米国、オーストラリア、ドイツなどはシェアを上げている(図表-1)。
品目別のシェアを見ると、機械・輸送機器が最も大きく40.9%を占め、その半分が電気機械だ。また、非食品原材料(木材や金属砂など)が12.6%、原料別製品(繊維製品や金属など)が8.0%と工場で利用するモノの輸入が多い。農業大国である中国では食料品及び動物(食用)は3.0%と少ないものの増加傾向にあり、鉱物性燃料は11.8%だがここもとの原油安などで減少している(図表-2)。
相手先別のシェア(2015年)を見ると、第1位は韓国の10.4%、第2位は米国の8.8%、第3位は日本と台湾の8.5%となっている。欧州ではドイツの5.2%が最大で、EU離脱の道を歩み始めた英国は1.1%、EU全体では12.5%となっている。また、10年前(2005年)に比べると日本、台湾、韓国などがシェアを落とした一方、米国、オーストラリア、ドイツなどはシェアを上げている(図表-1)。
品目別のシェアを見ると、機械・輸送機器が最も大きく40.9%を占め、その半分が電気機械だ。また、非食品原材料(木材や金属砂など)が12.6%、原料別製品(繊維製品や金属など)が8.0%と工場で利用するモノの輸入が多い。農業大国である中国では食料品及び動物(食用)は3.0%と少ないものの増加傾向にあり、鉱物性燃料は11.8%だがここもとの原油安などで減少している(図表-2)。
2――主要商品別の輸入シェアは?
次に、主要品目の輸入シェアを見てみよう。鉄鉱石に関しては、第1位のオーストラリアが63.7%、第2位のブラジルが20.1%を占めており、両国で全体の8割を超える(図表-3)。ここもと中国では鉄鋼の過剰生産設備の淘汰が進められており、両国はその影響を大きく受けることになりそうだ。
エネルギー関連を見ると、原油では第1位がサウジアラビアで15.1%、第2位はロシアで12.6%、第3位はアンゴラで11.5%、天然ガスでは第1位がオーストラリアで18.0%、第2位はカタールで17.7%、第3位はUAEで16.1%となっている。
石炭では、第1位がインドネシアで36.1%、第2位がオーストラリアで34.7%となっており、両国で全体の7割を超える。また、北朝鮮が9.6%で第3位、モンゴルも7.0%で第5位に入っており、中国の大気汚染対策で石炭需要が減少するとこれらの国々への影響もでてくる(図表-4)。
一方、自動車では、第1位が日本で23.9%、第2位が米国で23.7%、第3位がドイツで19.9%などとなっている(図表-5)。但し、輸入車は国内販売の約4.5%に過ぎない。
エネルギー関連を見ると、原油では第1位がサウジアラビアで15.1%、第2位はロシアで12.6%、第3位はアンゴラで11.5%、天然ガスでは第1位がオーストラリアで18.0%、第2位はカタールで17.7%、第3位はUAEで16.1%となっている。
石炭では、第1位がインドネシアで36.1%、第2位がオーストラリアで34.7%となっており、両国で全体の7割を超える。また、北朝鮮が9.6%で第3位、モンゴルも7.0%で第5位に入っており、中国の大気汚染対策で石炭需要が減少するとこれらの国々への影響もでてくる(図表-4)。
一方、自動車では、第1位が日本で23.9%、第2位が米国で23.7%、第3位がドイツで19.9%などとなっている(図表-5)。但し、輸入車は国内販売の約4.5%に過ぎない。
3――輸入急増の消費財も出現!
2016年上期の輸入金額の増減を見ると、資源安を受けた原油などや工業部門の不振を受けた工業原料・部材の輸入減が目立つ一方、消費財の中には輸入が急増しているモノもある。例えば、酒類は前年同期比36.0%増、美容化粧スキンケア品は同24.3%増、音響機器も同13.1%増と2桁の高い伸びを示している(図表-6)。
こうした動きは一時的に留まらないだろう。中国経済は輸出・投資主導から消費主導へと構造転換する途上にあるからだ。流行り廃りや競争環境の変化もあることから空気清浄機にように失速するモノもでてくるだろうが、中国への消費財輸出を目論む企業にとっては、豊富なビジネスチャンスがある市場といえるだろう。
こうした動きは一時的に留まらないだろう。中国経済は輸出・投資主導から消費主導へと構造転換する途上にあるからだ。流行り廃りや競争環境の変化もあることから空気清浄機にように失速するモノもでてくるだろうが、中国への消費財輸出を目論む企業にとっては、豊富なビジネスチャンスがある市場といえるだろう。
(2016年08月15日「基礎研レター」)
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
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