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- 日銀短観(6月調査)~大企業製造業の景況感は横ばいだが、非製造業は悪化、設備投資計画も弱い
2016年07月01日
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(中小企業)
中小企業製造業の業況判断D.I.は▲5で前回から1ポイントの低下となった。業種別では全16業種中、悪化が10業種と、改善の6業種を上回った。業種別では、大企業同様、自動車(3ポイント悪化)やはん用機械(6ポイント悪化)、生産用機械(5ポイント悪化)などの機械類など加工業種の悪化が目立つ。一方、春の鋼材市況改善を受けた鉄鋼(9ポイント改善)が下支え役となった。
先行きも、悪化が10業種と改善の4業種を大きく上回り(横ばいが2業種)、全体では2ポイントの悪化となった。生産用機械(12ポイント悪化)で悪化幅が大きいほか、化学(7ポイント悪化)なども大きく悪化する見込みとなっている。
中小企業非製造業のD.I.は0と前回比4ポイント低下した。全12業種中、横ばい1業種・悪化1業種を除いた10業種で悪化した。大企業同様、宿泊・飲食サービス(22ポイント悪化)で大幅な悪化となったが、悪化幅は大企業を上回る。その他にも、通信(10ポイント悪化)、電気・ガス(7ポイント悪化)、小売(6ポイント悪化)などの悪化が目立った。
先行きも、大半にあたる10業種が悪化を示しており、全体では4ポイントの悪化となった。今回大幅に悪化した飲食・宿泊サービスが改善に転じるものの、その他は、ほぼ総崩れの様相を示している。
中小企業製造業の業況判断D.I.は▲5で前回から1ポイントの低下となった。業種別では全16業種中、悪化が10業種と、改善の6業種を上回った。業種別では、大企業同様、自動車(3ポイント悪化)やはん用機械(6ポイント悪化)、生産用機械(5ポイント悪化)などの機械類など加工業種の悪化が目立つ。一方、春の鋼材市況改善を受けた鉄鋼(9ポイント改善)が下支え役となった。
先行きも、悪化が10業種と改善の4業種を大きく上回り(横ばいが2業種)、全体では2ポイントの悪化となった。生産用機械(12ポイント悪化)で悪化幅が大きいほか、化学(7ポイント悪化)なども大きく悪化する見込みとなっている。
中小企業非製造業のD.I.は0と前回比4ポイント低下した。全12業種中、横ばい1業種・悪化1業種を除いた10業種で悪化した。大企業同様、宿泊・飲食サービス(22ポイント悪化)で大幅な悪化となったが、悪化幅は大企業を上回る。その他にも、通信(10ポイント悪化)、電気・ガス(7ポイント悪化)、小売(6ポイント悪化)などの悪化が目立った。
先行きも、大半にあたる10業種が悪化を示しており、全体では4ポイントの悪化となった。今回大幅に悪化した飲食・宿泊サービスが改善に転じるものの、その他は、ほぼ総崩れの様相を示している。
3.需給・価格判断:内外需給はやや改善、マージンは資源価格上昇などで縮小
(需給判断:内外需給はやや改善)
大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比3ポイント上昇、非製造業では横ばいとなったが、D.I.の水準はともに大幅なマイナス(供給超過)となっている。伸び悩む賃金と株安を受けた個人消費の低迷などが影響したと考えられる。製造業の海外での製商品需給も前回から3ポイント上昇したが、D.I.は引き続き大幅なマイナス。
先行きについては、国内需給は製造業で1ポイント低下、非製造業で1ポイント上昇、製造業の海外需給は横ばいと、それぞれ小動きとなっており、状況の変化は見込まれていない。
中小企業では、国内需給は製造業で前回から横ばい、非製造業で3ポイントの低下となった。中小企業非製造業の苦境がうかがえる。なお、製造業の海外需給も1ポイント上昇と小動きに。先行きについては、国内・海外需給ともに小動きに留まっている(図表4)。
(価格判断:仕入価格がマージンを圧迫)
大企業製造業の販売価格判断D.I. (上昇-下落)は前回から3ポイント上昇、非製造業では1ポイント上昇したが、D.I.の水準は製造業で▲12と大幅な下落超過、非製造業でも0に留まった。一方、仕入価格判断D.I. (上昇-下落)は製造業で6ポイント上昇、非製造業で3ポイント上昇している。原油などの資源価格の持ち直しが影響したようだ。製造業・非製造業ともに、販売価格D.I.の上昇幅が仕入価格D.I.の上昇幅を下回ったため、両者の差し引きであるマージン(利鞘)は前回から縮小している。
販売価格判断D.I.の3ヵ月後の先行きについては、製造業では3ポイント、非製造業では1ポイントの上昇が見込まれているが、一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で6ポイント上昇、非製造業で5ポイントの大幅な上昇が見込まれているため、マージンはさらに縮小に向かうことが想定されている(図表5)。
中小企業の販売価格判断D.I.は製造業で前回から1ポイント低下、非製造業では横ばいとなった。一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で横ばい、非製造業で4ポイント上昇したため、差し引きであるマージンは、それぞれ縮小している。
先行きについては、販売価格D.I.が製造業で1ポイント低下、非製造業では1ポイント上昇と小動きに留まる一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で8ポイント、非製造業で7ポイントとそれぞれ大きく上昇しており、大企業同様、マージンの縮小が見込まれている。原油価格などの上昇を受けて、先行きのマージン圧迫への警戒が強まっている。
大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比3ポイント上昇、非製造業では横ばいとなったが、D.I.の水準はともに大幅なマイナス(供給超過)となっている。伸び悩む賃金と株安を受けた個人消費の低迷などが影響したと考えられる。製造業の海外での製商品需給も前回から3ポイント上昇したが、D.I.は引き続き大幅なマイナス。
先行きについては、国内需給は製造業で1ポイント低下、非製造業で1ポイント上昇、製造業の海外需給は横ばいと、それぞれ小動きとなっており、状況の変化は見込まれていない。
中小企業では、国内需給は製造業で前回から横ばい、非製造業で3ポイントの低下となった。中小企業非製造業の苦境がうかがえる。なお、製造業の海外需給も1ポイント上昇と小動きに。先行きについては、国内・海外需給ともに小動きに留まっている(図表4)。
(価格判断:仕入価格がマージンを圧迫)
大企業製造業の販売価格判断D.I. (上昇-下落)は前回から3ポイント上昇、非製造業では1ポイント上昇したが、D.I.の水準は製造業で▲12と大幅な下落超過、非製造業でも0に留まった。一方、仕入価格判断D.I. (上昇-下落)は製造業で6ポイント上昇、非製造業で3ポイント上昇している。原油などの資源価格の持ち直しが影響したようだ。製造業・非製造業ともに、販売価格D.I.の上昇幅が仕入価格D.I.の上昇幅を下回ったため、両者の差し引きであるマージン(利鞘)は前回から縮小している。
販売価格判断D.I.の3ヵ月後の先行きについては、製造業では3ポイント、非製造業では1ポイントの上昇が見込まれているが、一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で6ポイント上昇、非製造業で5ポイントの大幅な上昇が見込まれているため、マージンはさらに縮小に向かうことが想定されている(図表5)。
中小企業の販売価格判断D.I.は製造業で前回から1ポイント低下、非製造業では横ばいとなった。一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で横ばい、非製造業で4ポイント上昇したため、差し引きであるマージンは、それぞれ縮小している。
先行きについては、販売価格D.I.が製造業で1ポイント低下、非製造業では1ポイント上昇と小動きに留まる一方で、仕入価格判断D.I.は製造業で8ポイント、非製造業で7ポイントとそれぞれ大きく上昇しており、大企業同様、マージンの縮小が見込まれている。原油価格などの上昇を受けて、先行きのマージン圧迫への警戒が強まっている。
(2016年07月01日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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