- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 土地・住宅 >
- マンション、ふたつの高齢化問題-“長寿時代”の住まいづくりを考える
コラム
2016年03月01日

文字サイズ
- 小
- 中
- 大
総務省「平成25年住宅・土地統計調査」によると、総住宅数は6,063万戸、「居住世帯のある住宅」は5,210万戸で、そのうち一戸建が2,860万戸(54.9%)、共同住宅が2,209万戸(42.4%)となっている。共同住宅は過去30年間に2.4倍に増加、東京都の共同住宅率は70.0%にも上り、都市部の共同住宅居住者は多い。一方、国土交通省「平成25年度マンション総合調査」では、分譲マンションストック数は約601万戸あり、分譲マンションは今日の都市部の代表的な住まいのひとつと言えるだろう。
分譲マンションは1950年代後半から造られ、近年では年間10~20万戸が新たに供給されている。最初は富裕層向けだったが、やがて多くの人が住宅すごろくの“あがり”と考えた一戸建住宅に至る経過的居住形態として普及した。現在の分譲マンションは居住面積を含む居住品質や耐久性が向上し、ファミリー世帯にとっても“終の棲家”との位置づけが強くなってきた。
分譲マンションには「ふたつの高齢化問題」がある。ひとつは居住者の高齢化に伴う問題だ。階段や段差の解消など建物のバリアフリー化は進んでいるが、一人暮らしのお年寄りが増え、社会的孤立や孤独死などが大きな問題になっている。マンションはプライバシーや居住の匿名性が重視される一方、高齢化が進んだ今日、コミュニティの希薄化が大きな課題になっているのだ。
もうひとつは建物自体の高齢化、即ち老朽化問題だ。特に旧耐震のマンション*は全体の2割程度を占め、安全性に対する懸念も大きい。また、居住者の高齢化に伴い管理組合の役員不在や機能低下が適切な維持管理を困難にしたり、居住者の死亡後に相続されずに空き家になったりするケースもある。今後、マンションの長寿命化に伴い適切な維持管理が行われないとスラム化する恐れもあるのだが、分譲マンションには区分所有権が設定されており、解体や建替えの合意形成が難しいのが実情だ。
今後、永住の居住形態として良好な分譲マンションストックを形成するには、大規模修繕を適切に実施し、耐用年数まで使った後に円滑に解体か建替えを行うライフサイクルマネジメントが重要だ。そのためのスキームとしては、区分所有権の解除を確実に行える定期借地権付きの分譲マンションの建設や自動車の廃車時のリサイクル券のようにマンション分譲時に解体費用を担保することが必要だ。今後は短期間のスクラップ&ビルドを繰り返すのではなく、マンションの長寿化を図らねばならない。長寿化する人生の変化に柔軟に対応する空間・設備への変更を可能にし、大規模修繕を経済的に行える施工法や建築資材の開発を行うなど、“長寿時代”に相応しい住まいづくりが求められる。
* 昭和56年5月以前に適用されていた旧耐震基準に基づき設計・建築されたもの
分譲マンションは1950年代後半から造られ、近年では年間10~20万戸が新たに供給されている。最初は富裕層向けだったが、やがて多くの人が住宅すごろくの“あがり”と考えた一戸建住宅に至る経過的居住形態として普及した。現在の分譲マンションは居住面積を含む居住品質や耐久性が向上し、ファミリー世帯にとっても“終の棲家”との位置づけが強くなってきた。
分譲マンションには「ふたつの高齢化問題」がある。ひとつは居住者の高齢化に伴う問題だ。階段や段差の解消など建物のバリアフリー化は進んでいるが、一人暮らしのお年寄りが増え、社会的孤立や孤独死などが大きな問題になっている。マンションはプライバシーや居住の匿名性が重視される一方、高齢化が進んだ今日、コミュニティの希薄化が大きな課題になっているのだ。
もうひとつは建物自体の高齢化、即ち老朽化問題だ。特に旧耐震のマンション*は全体の2割程度を占め、安全性に対する懸念も大きい。また、居住者の高齢化に伴い管理組合の役員不在や機能低下が適切な維持管理を困難にしたり、居住者の死亡後に相続されずに空き家になったりするケースもある。今後、マンションの長寿命化に伴い適切な維持管理が行われないとスラム化する恐れもあるのだが、分譲マンションには区分所有権が設定されており、解体や建替えの合意形成が難しいのが実情だ。
今後、永住の居住形態として良好な分譲マンションストックを形成するには、大規模修繕を適切に実施し、耐用年数まで使った後に円滑に解体か建替えを行うライフサイクルマネジメントが重要だ。そのためのスキームとしては、区分所有権の解除を確実に行える定期借地権付きの分譲マンションの建設や自動車の廃車時のリサイクル券のようにマンション分譲時に解体費用を担保することが必要だ。今後は短期間のスクラップ&ビルドを繰り返すのではなく、マンションの長寿化を図らねばならない。長寿化する人生の変化に柔軟に対応する空間・設備への変更を可能にし、大規模修繕を経済的に行える施工法や建築資材の開発を行うなど、“長寿時代”に相応しい住まいづくりが求められる。
* 昭和56年5月以前に適用されていた旧耐震基準に基づき設計・建築されたもの
(2016年03月01日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ
土堤内 昭雄
土堤内 昭雄のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/12/20 | 「定年退社」します!-「生涯現役」という人生の「道楽」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/11/28 | 「人生100年時代」の暮らし方-どう過ごす?! 定年後の「10万時間」 | 土堤内 昭雄 | 基礎研レポート |
2018/11/27 | 「平成」の30年を振り返って-次世代へのメッセージは、「レジリエントな社会づくり」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/10/23 | 「幸せ」実感できぬ社会-豊かな時代のあらたな課題 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月14日
噴火による降灰への対策-雪とはまた違う対応 -
2025年03月14日
ロシアの物価状況(25年2月)-前年比で上昇が続き10%超に -
2025年03月14日
株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える -
2025年03月13日
インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ -
2025年03月13日
行き先を探す“核の荷物”~高レベル放射性廃棄物の最終処分とエネルギー政策~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【マンション、ふたつの高齢化問題-“長寿時代”の住まいづくりを考える】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
マンション、ふたつの高齢化問題-“長寿時代”の住まいづくりを考えるのレポート Topへ