- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【1月米個人所得・消費支出】堅調な所得の伸びを背景に、消費は市場予想を上回る伸び
2016年02月29日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.結果の概要:所得、消費、価格指数ともに市場予想を上回る伸び
2月26日、米商務省の経済分析局(BEA)は1月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.5%(前月:+0.3%)となり、前月から伸びが加速し、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%も上回った。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.5%(前月改定値:+0.1%)と、こちらも前月から伸びが加速、市場予想(+0.3%)も上回った(図表1)。さらに、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出も、前月比+0.4%(前月改定値:+0.2%)と前月、市場予想(+0.3%も)を上回った(図表5)。貯蓄率1は5.2%(前月改定値:5.2%)と前月に一致した。
価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:▲0.1%)と前月からプラスに転じたほか、市場予想(横這い)も上回った。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.3%(前月改定値:+0.1%)となり前月から上昇、市場予想(+0.2%)も上回った(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+1.3%(前月改定値:+0.7%)、コア指数が+1.7%(前月改定値:+1.5%)となった(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:▲0.1%)と前月からプラスに転じたほか、市場予想(横這い)も上回った。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.3%(前月改定値:+0.1%)となり前月から上昇、市場予想(+0.2%)も上回った(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+1.3%(前月改定値:+0.7%)、コア指数が+1.7%(前月改定値:+1.5%)となった(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:所得の伸びを背景に、消費は前月から大幅に加速

さらに、所得対比でみると、貯蓄率が前月と変わらず5.2%で高止まりしており、依然として消費は余力を残していると言えよう。
16年に入って、米国の資本市場は不安定な状況が続いているものの、消費には未だその悪影響はみられていない。
一方、物価は前月比、前年同月比ともに前月から加速し、市場予想も上回ったものの、原油相場が足元30ドル台前半と前年に比べて3割超の下落幅で推移していることに加え、昨年は5月末にかけて60ドル近辺まで上昇していたことを考慮すると、総合指数の前年同月比が上昇を続けることは難しいとみられる。さらに、コア指数についても足元で時間当たり賃金の伸びに加速がみられているものの、ドル高を背景に輸入物価がコア指数を押下げる方向に働くことから、コア指数の上昇も緩やかとみられ、FRBの政策目標(2%)の達成時期が見通せない状況が続こう。
3.所得動向:賃金・給与の伸びが加速
個人所得の内訳をみると、利息・配当収入が前月比+0.5%(前月:▲0.4%)と前月のマイナスからプラスに転じたほか、賃金・給与が+0.6%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速した。とくに賃金・給与は15年5月(+0.7%)以来の高い伸びとなっており、雇用統計の時間当たり賃金の伸び加速が明確となっていることと併せて考えると、労働市場の回復が漸く賃金・給与の伸びに波及してきた可能性を示している(図表2)。
一方、個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.5%(前月:+0.3%)、価格変動の影響を除いた実質ベースも+0.4%(前月改定値:+0.4%)と、堅調な伸びを示しており、今後の消費堅調が期待できる(図表3)。
一方、個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.5%(前月:+0.3%)、価格変動の影響を除いた実質ベースも+0.4%(前月改定値:+0.4%)と、堅調な伸びを示しており、今後の消費堅調が期待できる(図表3)。
4.消費動向:自動車・自動車部品が持ち直し
個人消費は、財消費が前月比+0.4%(前月:▲0.7%)と前月の大幅なマイナスからプラスに転じた。財消費の内訳をみると、耐久財が+1.2%(前月:▲0.5%)と前月から大幅なプラスに転じるなど消費を牽引した。とくに、自動車・自動車部品が+2.2%(前月:▲2.5%)と前月の反動もあって大幅な伸びとなったほか、家具・家電も+0.5%(前月:+0.4%)と伸びが加速した。一方、非耐久財は、食料・飲料が+1.0%(前月:▲0.3%)、衣料・靴が+0.5%(前月:▲0.3%)と、前月から改善したものの、ガソリン・エネルギーが▲5.1%(前月:▲5.1%)と前月に続いて大幅なマイナスとなったことから、非耐久財全体では前月比横這い(前月:▲0.8%)とマイナス幅は縮小したものの、横這いまでの改善に留まった。最後にサービス消費は前月比+0.6%(前月:+0.5%)となり、小幅ながら前月から加速した。外食・宿泊サービスが▲0.4%(前月:+1.4%)とマイナスに転じたほか、娯楽サービスも前月比+0.2%(前月:+1.6%)と伸びが鈍化する一方、住宅・公共サービスが+1.1%(前月:▲0.2%)とプラスに転じた。
5.価格指数:エネルギー価格の下落が持続
(2016年02月29日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1824
経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
新着記事
-
2025年03月18日
長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった -
2025年03月18日
中国で求められる、働きやすく、子育てしやすい社会の整備【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(68) -
2025年03月18日
グリーン車から考える日本の格差-より多くの人が快適さを享受できる社会へ- -
2025年03月18日
気候変動:アクチュアリースキルの活用-「プラネタリー・ソルベンシー」の枠組みに根差したリスク管理とは? -
2025年03月18日
EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【【1月米個人所得・消費支出】堅調な所得の伸びを背景に、消費は市場予想を上回る伸び】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【1月米個人所得・消費支出】堅調な所得の伸びを背景に、消費は市場予想を上回る伸びのレポート Topへ