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- Jリートは4年ぶりに下落。2015年訪日外国人客数は47%増加-不動産クォータリー・レビュー2015年第4四半期
2016年02月04日
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シービーアールイー(CBRE)によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の2015年第4四半期空室率は前期比3.4%上昇の6.9%、近畿圏は前期比▲1.0%低下の3.5%となった(図表-17)。首都圏では第4四半期に過去最大規模となる約50万㎡の新規供給があり全体の空室率を押し上げた。もっとも、電子商取引の拡大などを背景に大型物流施設の需要は強く、既存物件(竣工1年以上)の空室率は1.2%と過去最低水準に低下した。2016年の首都圏の新規供給は前年比20%増加の約120万㎡が予定されており、競合の多いエリアでは需給が緩和するとみられる。
一五不動産情報サービスによると、2015年10月の東京圏の募集賃料は前期比0.3%下落の3,990円/坪となり、概ね横ばいで推移している4。
一五不動産情報サービスによると、2015年10月の東京圏の募集賃料は前期比0.3%下落の3,990円/坪となり、概ね横ばいで推移している4。
4 J-REITが所有する先進物流施設では、賃料が上昇している。GLP投資法人(2015年8月期)の増額改定(全体の37%)における上昇率はプラス2.3%、日本プロロジスリート投資法人(2015年11月期)の改定賃料変動率はプラス5.2%である。
4.J -REIT(不動産投信)・不動産投資市場
2015年第4四半期の東証REIT指数(配当除き)は、年初からの下落に伴う割安感の台頭や公募増資が一段落し需給面で改善が見られたことなどから、9月末比4.2%上昇した。セクター別では、オフィスが3.7%、住宅が3.7%、商業・物流等が5.1%上昇した(図表-18)。また、日本銀行は12月18日に「量的・質的金融緩和の補完措置」を発表し、J-REIT各社の買入上限枠を従来の5%から10%に拡大した。12月末時点のバリュエーションは、純資産7.3兆円に保有物件の含み益1.0兆円を加えた8.3兆円に対して時価総額は10.5兆円でNAV倍率は1.3倍、分配金利回りは3.5%で10年国債利回り(0.3%)とのスプレッドは3.2%である。
2015年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数の騰落率は▲7.9%となり4年ぶりに下落した。過去3年にわたる大幅高の反動や世界景気の減速懸念など背景に、1月の高値(1,990pnt)から9月の安値(1,509pnt)まで一時▲24%下落した。その後は追加の金融緩和期待から反発し下落幅は縮小した。
J-REITによる物件取得額は約1.6兆円で前年から横ばいとなった。第3四半期までは昨年を上回るペースで物件取得が進んだものの、第4四半期は2,881億円(前年同期比▲43%)と大幅に減少した。取得不動産の内訳は、オフィス(6,753億円、占率42%)が最も大きかったが、商業施設(前年比63%増)やホテル(前年比133%)の取得が大きく伸びた(図表-19)。また、上場銘柄数は3社増えて52社、市場全体の運用不動産額は14兆円となり、市場の拡大は順調だと言える。デット資金の調達環境も良好で、投資法人債の発行条件は平均で期間7.9年、利率0.67%であった(図表-20)。
2015年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数の騰落率は▲7.9%となり4年ぶりに下落した。過去3年にわたる大幅高の反動や世界景気の減速懸念など背景に、1月の高値(1,990pnt)から9月の安値(1,509pnt)まで一時▲24%下落した。その後は追加の金融緩和期待から反発し下落幅は縮小した。
J-REITによる物件取得額は約1.6兆円で前年から横ばいとなった。第3四半期までは昨年を上回るペースで物件取得が進んだものの、第4四半期は2,881億円(前年同期比▲43%)と大幅に減少した。取得不動産の内訳は、オフィス(6,753億円、占率42%)が最も大きかったが、商業施設(前年比63%増)やホテル(前年比133%)の取得が大きく伸びた(図表-19)。また、上場銘柄数は3社増えて52社、市場全体の運用不動産額は14兆円となり、市場の拡大は順調だと言える。デット資金の調達環境も良好で、投資法人債の発行条件は平均で期間7.9年、利率0.67%であった(図表-20)。
日経不動産マーケット情報によると、2015年の物件売買の総額は前年比▲13%減少し約3.6兆円であった。2015年はホテルの売買が倍増したほか、市場が過熱するなか企業買収を通じた資産の取得が目立ったとしている。
ニッセイ基礎研究所が1月上旬に実施した不動産投資市場に関するアンケート調査によると5、現在の景況感について「良い」または「やや良い」と答えた割合から「悪い」または「やや悪い」と答えた割合を差し引いた値(DI、ディフュージョン・インデックス)は+86で、3年連続で大幅プラスとなった。一方、6ケ月後の景況感について「良くなる」または「やや良くなる」の割合から「悪化」または「やや悪化」の割合を引いた値は▲3で、08年以来7年ぶりにマイナスとなった(図表-21)。過去2年の景況感DIは、現況と先行きがともにプラスで、「良い現状がさらに良くなる」との楽観的な見方が大勢を占めていた。今回の調査では先行きのみがマイナスとなり、「良い現状が少し悪くなるかもしれない」という将来への警戒がやや高まり、景況感にピークアウトの兆しも見られる。
ニッセイ基礎研究所が1月上旬に実施した不動産投資市場に関するアンケート調査によると5、現在の景況感について「良い」または「やや良い」と答えた割合から「悪い」または「やや悪い」と答えた割合を差し引いた値(DI、ディフュージョン・インデックス)は+86で、3年連続で大幅プラスとなった。一方、6ケ月後の景況感について「良くなる」または「やや良くなる」の割合から「悪化」または「やや悪化」の割合を引いた値は▲3で、08年以来7年ぶりにマイナスとなった(図表-21)。過去2年の景況感DIは、現況と先行きがともにプラスで、「良い現状がさらに良くなる」との楽観的な見方が大勢を占めていた。今回の調査では先行きのみがマイナスとなり、「良い現状が少し悪くなるかもしれない」という将来への警戒がやや高まり、景況感にピークアウトの兆しも見られる。
(2016年02月04日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1858
経歴
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
岩佐 浩人のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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