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- 法人企業統計15年7-9月期~設備投資の伸びが急加速も、均してみれば緩やかな回復
2015年12月01日
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1.非製造業は二桁増益、製造業は減益
製造業は大幅な円安にもかかわらず輸出数量の減少が続いたことから、売上高が前年比▲0.0%(4-6月期:同1.2%)と伸び悩んだことに加え、売上高経常利益率が14年7-9月期の5.6%から5.5%へと小幅ながら5四半期ぶりに悪化した。製造業の売上高経常利益率(前年差)を要因分解すると、原油価格下落の効果から変動費要因は引き続き利益率を押し上げているものの、押し上げ幅は前期から大きく縮小した(4-6月期:前年差1.3ポイント→7-9月期:同0.1ポイント)。また、売上高が小幅ながら減少する中で人件費が前年比0.5%と2四半期連続で増加したため人件費要因が利益率を若干押し下げた(前年差▲0.1ポイント)。
非製造業は卸売・小売業が前年比▲1.9%と3四半期連続で減少したことなどから、売上高は前年比0.1%(4-6月期:同1.1%)と低調だったが、売上高経常利益率が14年7-9月期の3.7%から4.3%へと改善したことが大幅増益につながった。人件費が前年比2.9%(4-6月期:同1.7%)と売上対比で高い伸びが続いていることから、人件費は利益率の押し下げ要因となっているが、変動費要因が引き続き利益率の改善要因(4-6月期:前年差1.1ポイント→7-9月期:同0.9ポイント)となった。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は、輸送用機械が前年比15.2%(4-6月期:同13.6%)と2四半期連続で二桁の伸びを維持したが、鉄鋼(前年比▲50.7%)、はん用機械(同▲39.8%)、生産用機械(同▲16.6%)、業務用機械(同▲18.8%)、電気機械(同▲19.5%)などが大幅減益となった。非製造業では、建設業(前年比23.8%)、卸売・小売業(同16.6%)、不動産業(同15.2%)物品賃貸業(同28.0%)、サービス業(同15.6%)など軒並み二桁増益となった。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は、輸送用機械が前年比15.2%(4-6月期:同13.6%)と2四半期連続で二桁の伸びを維持したが、鉄鋼(前年比▲50.7%)、はん用機械(同▲39.8%)、生産用機械(同▲16.6%)、業務用機械(同▲18.8%)、電気機械(同▲19.5%)などが大幅減益となった。非製造業では、建設業(前年比23.8%)、卸売・小売業(同16.6%)、不動産業(同15.2%)物品賃貸業(同28.0%)、サービス業(同15.6%)など軒並み二桁増益となった。
2.設備投資の伸びが急加速

ただし、7-9月期の結果を受けて企業の設備投資意欲がここにきて大きく高まったと考えるのは早計だろう。法人企業統計の結果を額面どおりに受け取れば、「15年4-6月期は企業収益が急回復する一方で設備投資は低調、7-9月期は企業収益の改善が一服する中、設備投資の伸びが加速」ということになるが、その明確な理由を見出すことは難しい。本日の結果が公表されるまでは、海外経済の先行き不透明感などから夏場以降、設備投資計画の先送りが相次いでいるとの見方が一般的だったからだ。
法人企業統計は振れの大きい統計であるため、基調を判断するためには過去の動きと均してみることが必要である。設備投資は好調な企業収益を主因として緩やかに回復しているが、底這い圏で推移する「設備投資/キャッシュフロー比率」が示すように、国内投資に対する慎重姿勢は依然残っていると考えられる。
(2015年12月01日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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