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- 【台湾7-9月期GDP】前年同期比▲1.01%~輸出不振が内需に波及してマイナス成長~
台湾の2015年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比(原系列)▲1.01%と、前期(同+0.52%)から更に低下した。2009年7-9月期以来のマイナス成長となった。輸出の低迷に加え、海外経済の先行き不透明感を受けて企業が投資を控えると共に、企業の雇用調整や株価・不動産価格の下落を受けて消費が鈍化するなど、内需に悪影響が波及したことも景気を押下げた。
GDPの約7割を占める輸出は、主力の電子製品やICT製品メーカーが最大の取引相手である中国経済の減速や中国企業の台頭による現地調達率の増加、スマホ需要の鈍化など外部環境の悪化に苦しみ、4-6月期から輸出不振に陥っている。
また投資は、景気の先行き不透明感に加え、製造業が供給過剰状態にある液晶パネルや鉄鋼などを中心に積み上がった在庫の調整局面に入っており、設備投資は鈍化した。また政府は不動産投機抑制策を実施しており、不動産取引の冷え込みが建設投資の低迷に繋がったと見られる。
個人消費は、企業の雇用調整で無給休暇が増加するなど雇用環境が悪化していること、また株価や住宅価格の下落による逆資産効果などが下押し要因になったと見られる。
こうした輸出不振を発端とした景気減速に対して、政府は景気刺激策を打ち出し、中央銀行は金融緩和によって政府と足並みを揃えるが、輸出が上向かないなかでは景気の停滞局面が続く可能性は高い。輸出は中国経済と低中価格帯のスマホ需要の伸びが加速するとは見込みにくく、輸出不振は長期化する恐れがある。現在の電子製品の中間財輸出に依存した産業構造を転換する必要性はこれまで以上に増しているなか、来年1月に政権交代した場合、民主進歩党が目新しい産業政策を打ち出せるのか、金融市場で下される評価が株価に現れるだろう。
(2015年10月30日「経済・金融フラッシュ」)
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- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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