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- 【フィリピンGDP】1-3月期は台風被害で+5.7%に減速
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1.1-3月期は前年同期比+5.7%
フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は5月29日、2014年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で5.7%の増加となり、前期(同+6.3%)を下回った。
1-3月期の海外からの純所得は前年同期比+17.3%(前期:同+12.3%)と大きく伸びたことから、国民総所得(GNI)については前年同期比+7.6%(前期:同+7.2%)と加速した。
2.復興需要で成長が加速
1-3月期の悪化は、昨年11月の大型台風の影響による農業生産の減速や、食品加工などのサプライチェーンの乱れなど生産面の落ち込みが主因であった。一方、需要項目を見ると、投資・輸出の伸び率は揃って2桁増に加速、消費の減速は小幅に留まるなど内容は悪くはない。
先行きについては、消費・輸出への期待は高くないものの、好調を続ける機械投資に加え、建設投資が復興需要(仮設住宅建設やインフラ復旧など)で盛り返していくなど、投資が今後の牽引役となり、成長率は6%台半ばへと改善すると見ている。
3.今後の注目点
フィリピンの成長率は、他のアジア新興国のなかでも高水準が続いているものの、中期的に維持するための土壌は依然として弱い。フィリピンは外国企業にとっては英語が話せる労働力や充実した投資優遇措置などの魅力を持つが、首都圏の交通渋滞、港湾・空港の混雑などインフラが未成熟であり、電力需給の逼迫で電気代が高額となっている。このために製造業の裾野が広がらず、雇用の改善が進まない。国内雇用を増やして中間層を育てなければ、いつまでも国内消費は出稼ぎ依存の状況から抜け出すことはできない。インフラ整備や電力供給力の引き上げ、外資規制の緩和などによって製造業の投資意欲を掻き立てられるか、政府の取り組みに注目したい。
(2014年05月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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