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- 【4月米雇用統計】雇用増28.8万、失業率6.3%、市場予想より大幅に改善
【要旨】
結果の概要:市場予想より大幅に改善
5月2日、米国労働省(BLS)は4月の雇用統計を公表した。4月の非農業部門雇用者数は前月対比で28.8万人の増加(前月改定値:+20.3万人)となった。増加幅は3月から大きく拡大、市場予想の+21.8万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も上回った。業種別に見ても生産部門、サービス部門ともに良好な結果であった。
失業率は6.3%(前月:6.7%、市場予想:6.6%)と前月から0.4%ポイント改善、小幅改善を見込んでいた市場予想と比べて改善幅は大きかった。ただし、こちらは、労働力人口の減少が目立っており、労働参加率の低下により失業率が改善したという面が強い。これは典型的な「悪い失業率の低下」と言え、手放しで歓迎できる内容とも言えなかった(詳細はPDFを参照)。
結果の評価:雇用環境の評価がますます難しく
4月の雇用統計は、非農業部門雇用増、失業率ともに市場予想よりも大幅に改善した。雇用増については前月、前々月も上方修正されており、2月以降、3カ月連続で節目となる20万人の雇用増を達成したことになる。寒波による伸び悩みが顕在化した昨年12月からの平均雇用増を計算しても+18.8万人となり、寒波からの反動増という要因を考慮しても強い結果と評価できるだろう。
一方、失業率は判断が難しい。失業率は大幅に低下したが、その大部分は労働参加率の減少による「悪い失業率の低下」であった。特に、長期失業者の労働市場からの退出が進んでおり、緊急失業給付(EUC、通常の26週の失業給付とは別に追加の給付が受けられる制度)が昨年12月に失効したことで求職活動が鈍っている可能性が考えられる。長期失業が循環的な要因なのか、構造的な要因なのかには様々な見方があるが、少なくとも、統計によれば27週以上の長期失業者は失業者全体の35%以上に達している。失業給付を失った長期失業者が就業できずに求職をあきらめて労働市場から退出するという傾向が進めば、労働参加率の改善は難しくなると考えられる。
雇用統計のうち事業所調査と家計調査で整合的でない部分もあり、雇用環境については今後の統計を踏まえて、時間をかけて評価する必要がある。ただ、雇用の見方は金融政策に直結する問題だけに、FOMCがどのように雇用環境を評価するのかは注目されそうだ。イエレンFRB議長は、雇用環境の改善により長期失業者も職に就くチャンスが得られ、労働参加率も改善すると指摘するが、FOMCメンバー間でも見解の相違はあるだろう。タカ派メンバーによる金融引締めの必要性が訴えられる可能性も高まってきたと言える。
(2014年05月07日「経済・金融フラッシュ」)
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- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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