2012年01月20日

防火壁への不安を残したまま大詰めを迎えるギリシャ政府債務再編問題

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  1. 大手格付け機関S&Pのユーロ圏9カ国と欧州金融安定ファシリティー(EFSF)格下げは財政・金融問題の解決に取り組むユーロ圏にとって逆風だが、直ちにEFSFの支援能力に影響する訳ではない。EFSFは2013年6月までの3年期限の暫定的な枠組みであり、昨年12月のEU首脳会議では常設の欧州安定メカニズム(ESM)を今年7月に従来の計画を1年前倒しして創設することで合意済みだ。ESMをできる限り早く、より強固な仕組みとして立ち上げる重要性が増している。
  2. 13日に一旦中断されたギリシャ政府と国際金融協会(IIF)の債務削減交渉は18日に再開したが、交渉の行方は予断を許さず、昨年10月のユーロ圏首脳会議で合意した3本柱の対策で想定した以上にギリシャ・ショックが大きくなるリスクが残っている。
  3. 防火壁の強化の遅れは気掛かりだが、銀行システム対策として実施された欧州中央銀行(ECB)の3年物資金供給が安全網となり、深刻な混乱は回避できるだろう。



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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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