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■目次
1--------幸福度ブームの再来
2--------日本の豊かさの現状
3--------幸福度指標開発に向けた着眼点
■introduction
昨年12月に発表された「新成長戦略(基本方針)」の中で、国民の「幸福度」を表す新たな指標開発を行うことが示された。それ以来、幸福度指標開発の是非を問う報道が相次ぎ、さらに6月の菅首相の就任会見の中で、「最小不幸社会をつくる」との発言もあり、幸福度に対する国民の関心は高まってきている。6月の「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ」では、具体指標が示されることはなかったが、今後新しい成長と幸福度に関する調査研究を推進し、幸福感の低い人の割合を減らす目標が打ち立てられている。
指標開発の主旨は、社会の発展を測定するものさしとして、国内総生産(GDP)の成長率や失業率、インフレ率といった従来の経済政策の目標として用いられた客観的な量的な指標だけではなく、経済成長の目標である国民の幸せや豊かさをより直接的に測ることを通じて社会的課題の解決を目指すところにある。
こうした動きは海外でも見られ、フランスのサルコジ政権が2008年に「幸福度測定に関する委員会」を発足させ、アメリカの連邦準備理事会(FBR)のバーナンキ議長は幸福に資する経済の発展を主張している。しかし、歴史的には決して新しい試みではない。1960年以降、OECD先進諸国は経済成長に反動する形で国民の豊かさを政策目標に反映していく取り組みが進められ、日本でも1971年の「社会指標-よりよい暮らしへのものさし」から、1992年の「新国民生活指標(PLI)=豊かさ指標」まで、国民の豊かさ・幸せを評価する指標開発が続けられた。しかしながら、様々な批判を受けるなかで1998年に当該指標は廃止に至った経緯にある(注1)。今回の指標開発の流れは、世界の今日的な潮流であるとともに、歴史の繰り返しという側面がある。
(2010年07月26日「基礎研マンスリー」)
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生活研究部 上席研究員・ジェロントロジー推進室兼任
前田 展弘 (まえだ のぶひろ)
研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究学)、超高齢社会・市場、高齢者就労問題、ライフデザイン、高齢者のQOL/well-being
03-3512-1878
- 2004年 :ニッセイ基礎研究所入社
2009年度~ :東京大学高齢社会総合研究機構 客員研究員
2022年度~ :東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員
2021年度~ :慶応義塾大学ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター 訪問研究員
2023年度 :早稲田大学Life Redesign College(人生100年時代の大学)講師
内閣官房「一億総活躍社会(意見交換会)」招聘(2015年度)
厚生労働省「生涯現役地域づくり普及促進事業有識者委員会」委員長(2024年度)
財務省財務総合政策研究所「高齢社会における選択と集中に関する研究会」委員(2013年度)、「企業の投資戦略に関する研究会」招聘(2016年度)
東京都「東京のグランドデザイン検討委員会」招聘(2015年度)
神奈川県「かながわ人生100歳時代ネットワーク/生涯現役マルチライフ推進プロジェクト」代表(2017-19年度)
生協総研「2050研究会(2050年未来社会構想)」委員(2013-14、16-18年度)
全労済協会「2025年の生活保障と日本社会の構想研究会」委員(2014-15年度)
一般社団法人未来社会共創センター 理事(全体事業統括担当、2020年度~)
一般社団法人定年後研究所 理事(2018-19年度)
【資格】 高齢社会エキスパート(総合)※特別認定者、MBA 他
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