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■見出し
1.はじめに
2.増加を続けた日本の輸出
3.日本の輸出の構造変化と品目別輸出動向
4.円高下の地域別輸出動向と現状
5.今後の展望
■はじめに
'81年1月に登場した米国レーガン政権の下、いわゆるレーガノミックスによる長期のドル高・円安の時代が続いた。しかしその後、'85年第1Qでドル高・円安はピークをつけ、先進国間の大幅な対外不均衡の是正を目指した'85年9月のG5プラザ合意を契機に円の対ドルレートは、急速に切り上がり、日本経済は3年間に及ぶ長期の円高を経験する。
円高の進行は、我が国の輸出企業にとって円建て価格を維持するためにはドル建て輸出価格を引き上げねばならないため、海外市場において相対価格の不利化を招く。この結果、円高初期においては、Jカーブ効果によるドルベース輸出額の増加をもたらすものの、やがて数量調整効果の浸透により、ドル建て輸出額を減少させ、貿易収支黒字(以降、国際収支・輸出・輸入等は特に断らぬかぎりドル建てで考える)の縮小に寄与するはずであった。
しかし、現実には日本のドル建て輸出額は円高後3年たった今も増加を続けている。これは、日本の輸出に対して数量調整作用が充分には働かず、数量ベースでの輸出が堅調に推移していることによることろが大きい。日本の内需拡大と円高による輸入品および交易条件の改善による実質所得の増加により、輸入が大幅に増加しているため貿易収支の黒字自体は縮小傾向にある。しかし、一方で輸出も増加しているためにその黒字縮小スピードは穏やかなものにとどまっている。
このレポートでは、'85年第2Qに始まった円高の進行下でも増加を続けた日本の輸出の動向と構造変化を業種別・地域別に見ると同時に、今後の輸出動向についても若干の展望を試みたい。
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平岡 博之
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