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- 【台湾4-6月期GDP】前年同期比+0.6%~スマホ需要減速で失われた成長基盤~
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台湾の2015年4-6月期の実質GDP成長率1は前年同期比(原系列)+0.6%と、6四半期続いた+3~4%台から急減速した。この経済の失速は、これまで成長を牽引してきた輸出が停滞した影響が大きい。一方、内需は民間消費が堅調を維持し、投資が改善するなど景気の下支え役となった。
GDPの7割を占める輸出は、これまでIT関連産業が全体を押上げてきたが、足元では世界経済の回復の遅れや中国企業の台頭による現地調達率の増加、スマホ需要の伸びの鈍化など外部環境は厳しさを増し、輸出停滞局面にある。先行きは、先進国経済の回復やWindows10搭載のPC需要や米アップルの新型スマホ需要によってIT 関連産業を中心に一時的に上向くだろうが、モノのインターネット(IoT)やビックデータなどモバイル端末の次の成長分野が伸びない限り、好調を取り戻すには至らないだろう。
内需については、消費は就業者数や賃金の増加、インフレ率の低下を通じた家計の実質所得の向上などから堅調を維持し、投資の改善はエレクトロニクス産業を中心に在庫積み増しが寄与した。しかし、内需の先行きは輸出の不振が波及して景気の牽引力は失われるだろう。軟調な企業業績を受けた雇用・所得環境の悪化、株価と住宅価格の下落を受けて民間消費が伸び悩み、在庫調整や企業の設備投資意欲の減退で投資が鈍化すると見られる。
また来年1月の総統選・立法委員選に向けては政権交代が現実味を帯びるなか、蔡氏が明言する両岸関係の「現状維持」を懸念して、企業が投資を見合わせることから当面は景気停滞局面が続くと見られる。
(2015年07月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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