2016年08月26日

消費者物価(全国16年7月)~円高による物価下落圧力が高まる

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率のマイナス幅が拡大

消費者物価指数の推移 総務省が8月26日に公表した消費者物価指数によると、16年7月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.5%(6月:同▲0.4%)と5ヵ月連続のマイナスとなり、下落率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.4%、当社予想も▲0.4%)を下回る結果であった。

食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.3%(6月:同0.5%)と上昇率が前月から0.2ポイント縮小、総合は前年比▲0.4%(6月:同▲0.4%)と前月と同じ下落率となった。
消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)基準改定による改定幅の推移 消費者物価指数は今月分より2010年基準から2015年基準へと切り替えられた。基準改定に伴い2016年1~6月のコアCPI上昇率は旧基準(2010年基準)と比べて1月、4月が0.1ポイント下振れ、6月が0.1ポイント上振れしたが、6ヵ月の平均上昇率はほとんど変わらなかった。これまで、消費者物価指数は5年に一度の基準改定のたびに下方改定幅が大きくなる傾向があり、金融市場や日銀の金融政策の波乱要因となっていたが、今回の基準改定ではそうした事態は避けられた。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 コアCPIの内訳をみると、ガソリン(6月:前年比▲13.9%→7月:同▲14.8%)の下落幅は拡大したが、電気代(6月:前年比▲9.5%→7月:同▲8.2%)、ガス代(6月:前年比▲11.4%→7月:同▲10.1%)、灯油(6月:前年比▲25.6%→7月:同▲25.4%)の下落幅が縮小したため、エネルギー価格の下落率は6月の前年比▲12.0%から同▲11.3%へと縮小した。

一方、円高による輸入物価下落の影響から、食料(生鮮食品を除く)(6月:前年比1.3%→7月:同1.2%)、教養娯楽用耐久財(6月:前年比1.7%→7月:同0.0%)、家庭用耐久財(6月:前年比▲3.6%→7月:同▲4.5%)の上昇率が低下したことがコアCPIを押し下げた。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.94%(6月:▲1.00%)、食料(生鮮食品を除く)が0.28%(6月:0.30%)、その他が0.16%(6月:0.31%)であった。

2.コアCPIは16年末頃までマイナスが継続する公算

16年8月の東京都区部のコアCPIは前年比▲0.4%(7月:前年比▲0.4%)と6ヵ月連続の下落となり、下落率は前月と変わらなかった。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.3%、当社予想も▲0.3%)を下回る結果であった。

エネルギー価格の下落率が7月の前年比▲13.9%から同▲12.7%へと縮小する一方、食料(生鮮食品を除く)(7月:前年比1.0%→8月:同0.9%)、教養娯楽用耐久財(7月:前年比2.4%→8月:同▲0.8%)、家庭用耐久財(7月:前年比▲4.3%→8月:同▲5.0%)の上昇率が低下した。

東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲0.70%(7月:▲0.80%)、食料(生鮮食品を除く)が0.20%(7月:0.24%)、その他が0.11%(7月:0.16%)であった。
財・サービス別の消費者物価(生鮮食品を除く) 人手不足に伴う人件費の上昇などを背景にサービス価格はプラスの伸びを維持しているが、原油価格の下落に伴うエネルギー価格の大幅低下に加え、ここにきて円高による輸入物価低下の影響を受けやすい食料品、耐久財などでも上昇率の鈍化が目立つようになっている。

原油価格(ドバイ)は1月中旬の1バレル=20ドル台半ばを底に足もとでは40ドル台半ばまで上昇しており、エネルギー価格の下落率は縮小し始めている。一方、円高に伴う輸入品を中心とした財の物価下押し圧力は今後さらに高まることが見込まれるため、コアCPI上昇率は16年末頃までマイナス圏の推移が続くことが予想される。
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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2016年08月26日「経済・金融フラッシュ」)

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