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- Z世代を1000文字くらいで語りたい-「コスパ」から「タイパ」へ
2023年01月11日
1―コスパを追求する若者
Z世代(1996~2012年に生まれた層)においては、情報が溢れる現代社会において、消費行動を行うにあたって自身がわざわざ消費する必要があるかないか、という点を強く考慮に入れる傾向がある。ここで言うわざわざとは、再現性の高い消費を皆に倣って行い、自身のリソース(金や時間)をわざわざ割く必要があるのか考慮することもそうだし、その消費を行う事で得られる費用対効果を考えた時にわざわざ消費することで得られることはあるのか、と考慮することも含まれる。このように若者はコスパ(コストパフォーマンス)を追求し、支払った費用(コスト)から高い効果(パフォーマンス)を得ようとする傾向がある。
2―コスパに代わるタイパ
今では普通に使われるようになったコスパだが、Z世代においてはコスパに代わる「タイパ」を追求することが主流な価値観となっている。タイパとは「タイムパフォーマンス」の略で、費やした時間に対する結果の満足度を表している。すごく簡単に言えば、極力労力(時間)をかけずに満足感を得たいわけだ。
情報が溢れている現代社会においては処理しなくてはいけない情報が多すぎる一方で、消費したいこと、消費したいモノなども以前に増して増えている。しかし、消費者個人のリソース(時間や金)には限りがあり、それを如何に配分するかが焦点となる。前述した「わざわざ消費をする必要があるか考える」という価値観は正に、タイパを重視しているからとも言えるだろう。一方で、若者の言うタイパには、その消費結果をフックに他人とコミュニケーションをとる際に如何に時間をかけずに、満足のいくコミュニケーション水準まで自身の経験値や知識量を増やすことができるかという文脈でも使われているようである。例えばマンガとYouTubeの動画を比較すると、コミックスを購入する支出やそれを読むための時間が、YouTubeの動画をきっかけにコミュニケーションをとるよりもコストがかかってしまいタイパが悪いと判断されてしまうようだ。確かに映画の映像を無断で使用し、字幕やナレーションをつけて10分程度に要約した「ファスト映画」に需要があったのも、映画一本丸々を視聴しなくともストーリーとオチさえわかればその作品に関しての話題を他人と共有できるわけで、タイパが良いと言えるだろう。また、消費に失敗したくないという考え方や、わざわざお金を出して自分が視聴する必要があるのかを考えるという消費行動パターンを考慮しても、ファスト映画に需要が生まれてしまうわけである。
また、オタクという言葉が自身の趣味・趣向を表すアイデンティティという意味と同義で使われるようになった現代社会において、オタクであることをフックに他人とコミュニケーションをとろうとする若者も多く散見されるようになった。その中で、どうすれば手間をかけずにオタクを名乗れるのかを追求するZ世代も増えている。映画を例に挙げると、最短でオタクになるには何を見ればいいのか、とSNSを通じて質問している者やファスト映画に限らず、ネタバレサイトを利用し、結末を知る事でその作品を消化しようとする者もいる。このような消費者にとって映画はその作品を見たという事実を得るための消費物なのである。
情報が溢れている現代社会においては処理しなくてはいけない情報が多すぎる一方で、消費したいこと、消費したいモノなども以前に増して増えている。しかし、消費者個人のリソース(時間や金)には限りがあり、それを如何に配分するかが焦点となる。前述した「わざわざ消費をする必要があるか考える」という価値観は正に、タイパを重視しているからとも言えるだろう。一方で、若者の言うタイパには、その消費結果をフックに他人とコミュニケーションをとる際に如何に時間をかけずに、満足のいくコミュニケーション水準まで自身の経験値や知識量を増やすことができるかという文脈でも使われているようである。例えばマンガとYouTubeの動画を比較すると、コミックスを購入する支出やそれを読むための時間が、YouTubeの動画をきっかけにコミュニケーションをとるよりもコストがかかってしまいタイパが悪いと判断されてしまうようだ。確かに映画の映像を無断で使用し、字幕やナレーションをつけて10分程度に要約した「ファスト映画」に需要があったのも、映画一本丸々を視聴しなくともストーリーとオチさえわかればその作品に関しての話題を他人と共有できるわけで、タイパが良いと言えるだろう。また、消費に失敗したくないという考え方や、わざわざお金を出して自分が視聴する必要があるのかを考えるという消費行動パターンを考慮しても、ファスト映画に需要が生まれてしまうわけである。
また、オタクという言葉が自身の趣味・趣向を表すアイデンティティという意味と同義で使われるようになった現代社会において、オタクであることをフックに他人とコミュニケーションをとろうとする若者も多く散見されるようになった。その中で、どうすれば手間をかけずにオタクを名乗れるのかを追求するZ世代も増えている。映画を例に挙げると、最短でオタクになるには何を見ればいいのか、とSNSを通じて質問している者やファスト映画に限らず、ネタバレサイトを利用し、結末を知る事でその作品を消化しようとする者もいる。このような消費者にとって映画はその作品を見たという事実を得るための消費物なのである。
3―さいごに
若者の間で使われているタイパは、消費結果をフックに他人とコミュニケーションをとる際に如何に時間をかけずに、効率よく満足のいくコミュニケーション水準まで自身の経験値や知識量を増やすことができるかという文脈で使われている。この文脈においては、コンテンツは如何に効率よく消化できるかという対象であり、本来の鑑賞やそのものから得られるエンタメ性よりもコミュニケーションツールとしての側面が期待されていると言えるのではないだろうか。若者に限らず我々は日常生活を通して、「ながら消費」を行っており、こ のようなタイパを追求した消費方法は、情報が溢れ過ぎている現代社会において効率性を追求した消費の一様式なのであると筆者は考える。
03-3512-1776
経歴
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
(2023年01月11日「基礎研マンスリー」)
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