2022年09月02日

ユーロ圏失業率(2022年7月)-低失業率だが、横ばいでの推移が続く

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:6%台半ばでの推移が続く

9月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2022年7月、季節調整値)】
失業率は6.6%、市場予想1(6.6%)と同じで、前月(6.7%)から低下した(図表1)
失業者は1098.3万人となり、前月(1106.0万人)から7.7万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率は再び上昇

ユーロ圏の22年7月の失業率は6.6%で、前月(6.7%)からやや低下した(図表3)。今回公表された6月以前の失業率はやや悪化方向に改定されており(6月改定前:6.6%→改定後:6.7%、5月改定前:6.6%→改定後:6.7%、4月改定前:6.6%→改定後:6.7%、3月改定前:6.7%→改定後:6.8%)、7月の6.6%は統計データ公表以来の最低値を更新したことになる。

失業者数は7月の前月差で7.7万人減となり6月の増加(6月改定値:+0.7万人)から再び減少に転じている(図表3・4)。主要国ではスペイン(+2.0万人)とドイツ(+0.4万人)が増加、フランス(▲5.0万人)とイタリア(▲3.1万人)が減少だった。

7月の若年失業率は14.2%で6月(14.4%)から低下した(図表2)。ただし、6月以前の数値は大幅に悪化方向に改定されている(6月:13.6→14.4%、5月13.2→14.0%、4月13.8→14.2%など)。若年失業者数は7月で217.3万人(前月差▲3.5万人)となり、前月から減少した(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化
国別の7月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている19か国中、悪化した国が6か国、改善が8か国、横ばいが5か国だった(図表5)。また、若年失業率ではデータが公表されている16か国中、悪化した国が11か国、改善した国が5か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアもポルトガルも失業者が減少する一方で非労働力人口が増加したため就業者数は減少した(図表7)。労働参加率はイタリアで65.6%でありほぼコロナ禍前と同じ水準、ポルトガルで67.7%でありコロナ禍前と比較してもかなり高い水準にある。雇用の改善ペースは足踏みしている状況と言えるが、雇用環境としてはコロナ禍前と比較しても良好な状況が継続しているものと見られる。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2022年09月02日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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