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中国経済の現状とリスク要因-共産党の100周年と6中全会、それに北京冬季五輪が波乱の種
三尾 幸吉郎
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- 2021年1-3月期の中国経済は前年同期比18.3%増と1992年以降で最大の伸びを示した。但し、この急回復は昨年同期がコロナ禍で落ち込んだ反動という面が強く、前四半期と比べた実質成長率は前期比0.6%増(筆者の概算で前期比年率2.4%増)で、前四半期の前期比年率13.4%増を大きく下回った(下左図)。一方、消費者物価(CPI)は前年比で横ばいだった。
- 需要項目別に見ると、個人消費の代表指標である小売売上高は1-3月期に前年同期比33.9%増、投資の代表指標である固定資産投資も同25.6%増、輸出も同49.0%増といずれも極めて高い伸びを示した。なお、ここもと海外旅行は低迷したままだが、国内旅行は急増している。
- 現在(4月20日時点)のコロナ禍の状況を見ると、感染が確認された症例は累計90,541人、治癒退院したのが85,600人、死亡したのが4,636人、そして現存感染者は305人となっている。また、現存感染者のうち重症症例が6人、確認症例に含まれない現存無症状感染者が311人である。なお、経過観察中の濃厚接触者は11,348人、その累計は1,004,270人に達した。
- 中国では今年3月、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開催された。その冒頭で李克強総理は政府活動報告を行い、今年の成長率目標を「6%以上」と設定した(下右表)。そして、財政政策に関しては「質・効率の向上を図り、より持続可能なものにする」、金融政策に関しては「柔軟かつ精確で、合理的かつ適度なものにする」という基本方針を示した。
- 以上のように、コロナ禍をいち早く封じ込めた中国では、社会経済活動がほぼ正常化し、財政面・金融面からの景気支援を縮小しても、自然体で経済成長できる本来の姿を取り戻した。但し、不良債権増、住宅バブル崩壊、プラットフォーマー規制といったリスク要因に加えて、共産党100周年と6中全会、それに北京冬季五輪が波乱の種になりそうで、予断を許さない。
(2021年04月23日「Weekly エコノミスト・レター」)
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