- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
 - 資産運用・資産形成 >
 - 投資信託 >
 - 若いほど有利、時間を味方に付ける「積立投資」-若い世代の資産形成 Part2
 
2019年05月16日
    文字サイズ
- 小
 - 中
 - 大
 
■株は長期的には値上がりが期待できる
                                                                        よく「株や投資信託は怖い」という声を聞く。確かに、以前は株も投信も怖いものだったが、近年は個人が長期的な資産形成を始める環境が整ってきた。日本の株式市場はバブルの清算を終え、米国など海外の株や投信も購入しやすくなった。金融行政・金融業界も個人の資産形成を後押しする方向に舵を切った。
 
さらに、若い世代は老後まで数十年という時間がある。これが最大の武器だ。「時間を味方につける」とはどういう意味か。そもそも株式というのは(株式を組み入れいている多くの投資信託も同様)、短期的には値上がりと値下がりを繰り返すが、長期では値上がりが期待できる。
 
なぜなら、株式の適正価格(理論価格)は(1)自己資本(資本金や過去に稼いだ利益の蓄積など)と(2)将来の予想収益(現在価値に換算)の合計で決まる(図表1)。一般に企業は稼いだ利益の一部を自己資本に加算する。赤字が続かない限り長期的には自己資本が増えるので、株価も上昇するということだ。
            さらに、若い世代は老後まで数十年という時間がある。これが最大の武器だ。「時間を味方につける」とはどういう意味か。そもそも株式というのは(株式を組み入れいている多くの投資信託も同様)、短期的には値上がりと値下がりを繰り返すが、長期では値上がりが期待できる。
なぜなら、株式の適正価格(理論価格)は(1)自己資本(資本金や過去に稼いだ利益の蓄積など)と(2)将来の予想収益(現在価値に換算)の合計で決まる(図表1)。一般に企業は稼いだ利益の一部を自己資本に加算する。赤字が続かない限り長期的には自己資本が増えるので、株価も上昇するということだ。
■「時間を味方につける」積立投資とは?大儲けは狙わないが、大損も避ける
                                                                        それでも日本では「株は上がらない」というイメージが強いのはなぜか。最大の原因はバブルだ。1980年代のバブル期は株価が適正価格より高くなりすぎたため(ピーク時は適正価格の4倍くらい)、その調整に20年近くかかった。この20年間は株価が少し上がるとすぐに下がることを繰り返したため、「株は上がらない」というイメージを植え付けられたのだろう。
 
しかし、2010年頃にようやく調整を完了すると、その後のアベノミクスや世界的な景気回復による企業業績の改善を受けて、適正価格も実際の株価も上昇した。
 
その様子を示したのが図表2だ。日経平均ベースの自己資本は、アベノミクス前から趨勢的に増えたことが分かる。これが株価の下値メドとなり、2000年代初頭の世界同時株安、2008年のリーマンショック、その後の株価急落時も概ね自己資本と同じ水準で下げ止まった。
 
株価が自己資本に見合う水準まで下落すると、それ以上は株を売る投資家が減るからだ。実際、日本株も米国株もリーマンショック前の水準をとっくに回復している。
            しかし、2010年頃にようやく調整を完了すると、その後のアベノミクスや世界的な景気回復による企業業績の改善を受けて、適正価格も実際の株価も上昇した。
その様子を示したのが図表2だ。日経平均ベースの自己資本は、アベノミクス前から趨勢的に増えたことが分かる。これが株価の下値メドとなり、2000年代初頭の世界同時株安、2008年のリーマンショック、その後の株価急落時も概ね自己資本と同じ水準で下げ止まった。
株価が自己資本に見合う水準まで下落すると、それ以上は株を売る投資家が減るからだ。実際、日本株も米国株もリーマンショック前の水準をとっくに回復している。
                                            今後も景気循環や政治不安などで株価が乱高下する場面はあるだろうし、バブルもいつか起きるだろう。「時間を味方につける」とは、こうした一時的な株価乱高下の影響をならすことだ。換言すれば、バブルに踊ることもなければバブル崩壊を悲観することもしない。
 
積立投資とは、大儲けを放棄すると同時に大損も避けつつ、企業本来の長期的な価値創造の一部を享受することに他ならない。
 
            積立投資とは、大儲けを放棄すると同時に大損も避けつつ、企業本来の長期的な価値創造の一部を享受することに他ならない。
■日本は人口が減るのに、株価が上がるのはなぜ?
                                            ところで、日本では人口減少と一層の高齢化が確実視される中で、なぜ日経平均が値上がりすると考えて良いのか不思議に思った読者もいるだろう。セミナー等でも同様の質問をよく受ける。その質問に答えよう。
 
まず、日本企業の多くは海外で稼ぐようになった。欧米などの先進国にとどまらず、アジアやアフリカなど新興国への進出も目覚ましい。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本企業の海外売上高比率は2000年度に3割に満たなかったが、2017年度には6割程度に増えた。海外で稼いでいるのだから、国内の人口減少を理由に日本株市場の先行きを悲観するのは大間違いだ。
 
もうひとつ、日経平均の採用銘柄が定期的に入れ替わることも重要なポイントだ。日本経済新聞社が“各業種の代表選手”として採用銘柄を選ぶときに、株式市場で活発に取引されているかが重視される。その結果、衰退企業は自動的に日経平均から除外され、代わりに人気銘柄が補充される。
 
定期的なメンテナンスによってクオリティが維持される仕組みも、日経平均の長期的な上昇を支えている。
            まず、日本企業の多くは海外で稼ぐようになった。欧米などの先進国にとどまらず、アジアやアフリカなど新興国への進出も目覚ましい。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本企業の海外売上高比率は2000年度に3割に満たなかったが、2017年度には6割程度に増えた。海外で稼いでいるのだから、国内の人口減少を理由に日本株市場の先行きを悲観するのは大間違いだ。
もうひとつ、日経平均の採用銘柄が定期的に入れ替わることも重要なポイントだ。日本経済新聞社が“各業種の代表選手”として採用銘柄を選ぶときに、株式市場で活発に取引されているかが重視される。その結果、衰退企業は自動的に日経平均から除外され、代わりに人気銘柄が補充される。
定期的なメンテナンスによってクオリティが維持される仕組みも、日経平均の長期的な上昇を支えている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年05月16日「基礎研レター」)
このレポートの関連カテゴリ
                                        03-3512-1852
経歴
                            - 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
1999年 (株)ニッセイ基礎研究所へ
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト 
井出 真吾のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2025/09/01 | 急上昇した日本株に潜む落とし穴~コロナ禍の成功体験は再現するか~ | 井出 真吾 | 基礎研レポート | 
| 2025/05/07 | 遠のいた日経平均4万円回復 | 井出 真吾 | ニッセイ年金ストラテジー | 
| 2025/01/09 | 日経平均4万円回復は? | 井出 真吾 | 基礎研マンスリー | 
| 2024/12/23 | 日経平均4万円回復は? | 井出 真吾 | 研究員の眼 | 
新着記事
- 
                
2025年11月04日
数字の「26」に関わる各種の話題-26という数字で思い浮かべる例は少ないと思われるが- - 
                
2025年11月04日
ユーロ圏消費者物価(25年10月)-2%目標に沿った推移が継続 - 
                
2025年11月04日
米国個人年金販売額は2025年上半期も過去最高記録を更新-但し保有残高純増は別の課題- - 
                
2025年11月04日
パワーカップル世帯の動向(2)家庭と働き方~DINKS・子育て・ポスト子育て、制度と夫婦協働が支える - 
                
2025年11月04日
「ブルー寄付」という選択肢-個人の寄付が果たす、資金流入の突破口 
お知らせ
- 
                        
2025年07月01日
News Release
 - 
                        
2025年06月06日
News Release
 - 
                        
2025年04月02日
News Release
 
【若いほど有利、時間を味方に付ける「積立投資」-若い世代の資産形成 Part2】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
若いほど有利、時間を味方に付ける「積立投資」-若い世代の資産形成 Part2のレポート Topへ
            




                    
                    
                                    
                                    
                                    
                                    
                                            
                        
                        
                        


            
					


