- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- 働く女性の消費志向-独身と妻は「こだわり」、母は「安価重視」「環境安全」と「衝動買い」
働く女性の消費志向-独身と妻は「こだわり」、母は「安価重視」「環境安全」と「衝動買い」

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
2 久我尚子「シェアリング志向が強いのは誰?」、ニッセイ基礎研究所、基礎研究レポート(2018/6/25)

4――おわりに~働く母が増えれば消費市場は活性化する可能性も?時間や労力のコスト低減が鍵
独身や妻で「こだわり志向」が強いのは、子どものいる母と比べて時間のゆとりがあるために、何かを買う時は時間をかけて情報収集をして、自分の好みにこだわって選ぶ時間があるためのようだ。一方、母になると、独身や妻で見られたこだわりは弱まり、家計の節約などを考慮して安くて経済的なものを選んだり、子どもをはじめ家族のために環境や安全に配慮して選んでいる様子がうかがえた。さらに、母で興味深い点は、衝動買い志向が強いことだ。これはいわゆる女性の衝動買いでイメージされるような、モノへの衝動的な欲求やストレス発散ではなく、時間がないために買える時につい買い込んでしまう、ということのようだ。
政策の後押しもあり、今後、特に子育てをしながら働く女性が増えるだろう。子育て期は出費のかさむ時期であり、家計の管理は妻が担う家庭が多いとすれば、働く母は消費者として魅力的だ。働く母は節約意識や環境や安全に配慮する意識が高く、時間がないためにまとめ買いをするという特徴がある。また、高年収の母はシェアリングサービスなどを活用する傾向もある。働く母には、金額面でのコスト低減のほか、買い物にかかる時間の短縮3、あるいは家事・育児の代行4など時間や労力のコストを減らす商品やサービスが響きやすいだろう。働く母は家族のための消費に加えて、自分のための消費にも旺盛であるため5、働く母が増えれば、日本の消費市場の活性化につながる可能性もある。
3 例えば、ネット宅配野菜のオイシックスでは、予め商品がカートに入っており、利用者は不要なものをカーとから削除し、必要なものを追加する仕組みだ。
4 働く母の「中古・シェア志向」の強さと家事や育児のシェアリングサービスの親和性は高い。年収と友に高まる合理的な判断に加えて、スマホワンストップによる利便性の高さも時間のゆとりのない働く母に響きやすいのだろう。
5 久我尚子「働く女性の消費実態 ~独身・妻・母の生活状況や消費志向の違いは?」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート(2013/5/13)
(2018年11月12日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/08/15 | 地方で暮らすということ-都市と地方の消費構造の違い | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
2025/08/05 | 帰省の今とこれから-データで読み解く暮らしの風景 | 久我 尚子 | 研究員の眼 |
2025/07/28 | インバウンド消費の動向(2025年4-6月期)-四半期で1千万人超・2兆円超が続くが、割安感が薄れて単価減少 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
2025/07/18 | 家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年5月)-物価高でも、旅行・レジャー・デジタルなど楽しみへの消費は堅調 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年08月15日
マレーシア経済:25年4-6月期の成長率は前年同期比+4.4%~堅調な内需に支えられて横ばいの成長に -
2025年08月15日
グローバル株式市場動向(2025年7月)-米国と日欧の関税大枠合意により安心感が広がる -
2025年08月15日
生成AIを金融リスク分析の視点から読み解いてみる-なぜ人間によるファクトチェックが必要なのか -
2025年08月15日
QE速報:2025年4-6月期の実質GDPは前期比0.3%(年率1.0%)-トランプ関税下でも輸出が増加し、プラス成長を確保 -
2025年08月15日
地方で暮らすということ-都市と地方の消費構造の違い
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【働く女性の消費志向-独身と妻は「こだわり」、母は「安価重視」「環境安全」と「衝動買い」】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
働く女性の消費志向-独身と妻は「こだわり」、母は「安価重視」「環境安全」と「衝動買い」のレポート Topへ