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- 景気ウォッチャー調査(17年12月)~現状は高水準を維持も、先行き懸念高まる~
2018年01月15日
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1. 景気の現状判断DI(季節調整値):5ヵ月ぶりに悪化も、高水準を維持
1月12日に内閣府から公表された2017年12月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状判断DI(季節調整値)は53.91と前月から0.2ポイント低下し、小幅ながら5ヵ月ぶりに悪化した。前月は2.1ポイントと大幅に上昇したため、その反動も影響したとみられる。水準は50を明確に上回り、高水準にある。家計動向関連、雇用関連は小幅に悪化、企業動向関連は小幅に改善した。なお、内閣府は、基調判断を「緩やかに回復している」と上方修正した前月から据え置いた。
今回の調査では、家計動向関連は、高価格帯の商品の売上が好調なものの低価格志向も根強く、消費者は選別消費の傾向を強めているようだ。また、企業動向関連では、引き続き受注が好調に推移しているが、原材料費の上昇や人件費の増加などにより受注が増えても利益に結び付かない企業もみられる。雇用関連では、企業の求人活動は活発だが、雇用はミスマッチの状況が続いている。
1 季節調整値の改訂を行っている。
今回の調査では、家計動向関連は、高価格帯の商品の売上が好調なものの低価格志向も根強く、消費者は選別消費の傾向を強めているようだ。また、企業動向関連では、引き続き受注が好調に推移しているが、原材料費の上昇や人件費の増加などにより受注が増えても利益に結び付かない企業もみられる。雇用関連では、企業の求人活動は活発だが、雇用はミスマッチの状況が続いている。
1 季節調整値の改訂を行っている。
2.単価が伸びるが低価格志向も根強く、家計動向関連は小幅ながら悪化

住宅関連では、「短い検討期間で決める客は少なく、以前から住宅購入を計画していた客の契約が多い。候補を吟味した上での選定のためか、競合先があるケースは少ない」(東海・住宅販売会社)など、契約に慎重な消費者の姿勢に変化はみられないようだ。
企業動向関連では、製造業(前月差+2.1ポイント)は改善したが、非製造業(同▲1.3ポイント)は悪化し、業種によって大きく差がみられた。コメントをみると、「主要取引先の自動車、半導体向け新電力の生産が好調で、これに比例して原料の受注も増加基調にある」(中国・化学工業)など、製造業を中心に好調な受注に言及するコメントが目立った。ただし、「受注量は増加している。材料費は上昇し販売価格は相変わらず横ばいから下落傾向のため、利益水準は変わらない」(東海・金属製品製造業)や「受注量、販売量は増加しているが、原材料費の上昇分の製品価格への転嫁は進まず、収益面では苦戦している」(東海・パルプ・紙・紙加工品製造業)など、原材料費が上昇しても価格転嫁には追いつかず、売上高が伸びても利益に結び付いていないようだ。また、「工事発注量は増加傾向にあるが、人手不足によって施工能力が限界となり、受注困難な状況が起きている」(北陸・建設業)など、建設業や輸送業では人手不足によって受注に対応できないとするコメントがみられた。一方で、「運賃の値上げが順調に推移し、物量も前年をクリアする状況のため、利益を確保できている」(北陸・輸送業)や「原材料価格の高騰のため製品価格の値上げを客に要請しているが、依然として受注量は衰えず、高い状態を維持している」(中国・鉄鋼業)など着実に販売価格の値上げを行っている企業も一部にみられる。
雇用関連では、「12月の求人広告は前年を金額、件数共に上回り、根強い人手不足感がみられる。また、徐々に正社員募集の比率が高まっており、春に向けて再び正社員の補充を急ぎたい企業の状況がうかがえる」(北陸・新聞社[求人広告])など、積極的に正社員を募集する企業が増えているようだ。ただし、「人材不足の状況が続いているため、求人側では色々な方法で働く人を募集している。ただし、スキル不足の問題などからミスマッチの状況も続いている」(北海道・求人情報誌製作会社)など、企業の求人活動は活発だが、ミスマッチの状況が続いているようだ。
(2018年01月15日「経済・金融フラッシュ」)
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白波瀨 康雄
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