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- 2017年4-6月期の実質GDP~前期比0.9%(年率3.6%)を予測
2017年07月31日
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●4-6月期は年率3.6%を予測~内需主導の高成長
2017年4-6月期の実質GDPは、前期比0.9%(前期比年率3.6%)と6四半期連続のプラス成長になったと推計される。
輸出が横ばいにとどまる中、国内需要の堅調を反映し輸入が増加したため、外需は4四半期ぶりに成長率の押し下げ要因となった。一方、雇用所得環境の改善、企業収益の大幅増加を背景に、民間消費(前期比0.7%)、設備投資(同1.0%)が高い伸びとなったことに加え、前期までの在庫調整の進捗を反映し、民間在庫変動が大幅なプラス寄与(前期比0.3%)となったことから、国内民間需要の伸びは1-3月期の前期比0.2%から同1.2%へと急加速した。さらに、2016年度補正予算の効果から公的固定資本形成が前期比2.9%の高い伸びとなり、公的需要が5四半期ぶりに増加したことから、国内需要が経済成長のけん引役となった。
実質GDP成長率への寄与度は、国内需要1.1%(うち民需0.9%、公需0.2%)、外需が▲0.2%と予測する。
名目GDPは前期比0.9%(前期比年率3.7%)と2四半期ぶりの増加となり、実質とGDPと同様に高い伸びとなるだろう。GDPデフレーターは前年比▲0.5%(1-3月期:同▲0.8%)、前期比0.0%(1-3月期:同▲0.5%)と予測する。
なお、8/14に内閣府から2017年4-6月期のGDP速報値が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2017年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率1.0%から同1.1%へと若干上方修正されると予測している。
日本経済は2016年1-3月期以降、ゼロ%台後半とされる潜在成長率を上回る成長を続けているが、2017年4-6月期はその中でも最も高い伸びとなった模様だ。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年入り後は民間消費、設備投資が明確に増加し、内需主導の自律的回復局面に移行しつつある。
7-9月期は4-6月期の高成長の反動もあり成長率は鈍化する公算が大きいが、4-6月期と同様に民間消費、設備投資などの国内民間需要中心の成長が続くことが予想される。ただし、名目賃金の伸び悩みが続いているため、今後物価上昇ペースが加速した場合には、実質所得の低下を通じて消費が下振れるリスクが高まるだろう。
輸出が横ばいにとどまる中、国内需要の堅調を反映し輸入が増加したため、外需は4四半期ぶりに成長率の押し下げ要因となった。一方、雇用所得環境の改善、企業収益の大幅増加を背景に、民間消費(前期比0.7%)、設備投資(同1.0%)が高い伸びとなったことに加え、前期までの在庫調整の進捗を反映し、民間在庫変動が大幅なプラス寄与(前期比0.3%)となったことから、国内民間需要の伸びは1-3月期の前期比0.2%から同1.2%へと急加速した。さらに、2016年度補正予算の効果から公的固定資本形成が前期比2.9%の高い伸びとなり、公的需要が5四半期ぶりに増加したことから、国内需要が経済成長のけん引役となった。
実質GDP成長率への寄与度は、国内需要1.1%(うち民需0.9%、公需0.2%)、外需が▲0.2%と予測する。
名目GDPは前期比0.9%(前期比年率3.7%)と2四半期ぶりの増加となり、実質とGDPと同様に高い伸びとなるだろう。GDPデフレーターは前年比▲0.5%(1-3月期:同▲0.8%)、前期比0.0%(1-3月期:同▲0.5%)と予測する。
なお、8/14に内閣府から2017年4-6月期のGDP速報値が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2017年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率1.0%から同1.1%へと若干上方修正されると予測している。
日本経済は2016年1-3月期以降、ゼロ%台後半とされる潜在成長率を上回る成長を続けているが、2017年4-6月期はその中でも最も高い伸びとなった模様だ。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年入り後は民間消費、設備投資が明確に増加し、内需主導の自律的回復局面に移行しつつある。
7-9月期は4-6月期の高成長の反動もあり成長率は鈍化する公算が大きいが、4-6月期と同様に民間消費、設備投資などの国内民間需要中心の成長が続くことが予想される。ただし、名目賃金の伸び悩みが続いているため、今後物価上昇ペースが加速した場合には、実質所得の低下を通じて消費が下振れるリスクが高まるだろう。
●主な需要項目の動向
・民間消費~雇用所得環境の改善を背景に持ち直しが明確に
民間消費は前期比0.7%と6四半期連続で増加し、1-3月期の同0.3%から伸びが大きく高まると予測する。
年明け以降の個人消費は、雇用所得環境の改善を背景に堅調な推移が続いている。2016年夏場以降の消費を押し下げた天候不順、株価下落、生鮮野菜の価格高騰などのマイナス材料がこのところ見当たらないため、雇用者所得の増加が個人消費の回復につながっている。エネルギー価格以外の物価の基調が弱いことも家計にとっては追い風となっている。
個人消費の内訳をみると、買い替え需要の増加を背景に自動車販売が好調を続けているほか、外食などのサービス消費も堅調を維持している。4-6月期の消費関連指標を確認すると、「鉱工業指数」の消費財出荷指数は前期比4.2%の高い伸び、「商業動態統計」の小売業販売額指数(実質)が前期比0.2%と4四半期連続の上昇となったほか、「家計調査」の消費水準指数(除く住居等)も前期比1.2%と1-3月期の同0.2%から伸びが大きく加速した。
民間消費は前期比0.7%と6四半期連続で増加し、1-3月期の同0.3%から伸びが大きく高まると予測する。
年明け以降の個人消費は、雇用所得環境の改善を背景に堅調な推移が続いている。2016年夏場以降の消費を押し下げた天候不順、株価下落、生鮮野菜の価格高騰などのマイナス材料がこのところ見当たらないため、雇用者所得の増加が個人消費の回復につながっている。エネルギー価格以外の物価の基調が弱いことも家計にとっては追い風となっている。
個人消費の内訳をみると、買い替え需要の増加を背景に自動車販売が好調を続けているほか、外食などのサービス消費も堅調を維持している。4-6月期の消費関連指標を確認すると、「鉱工業指数」の消費財出荷指数は前期比4.2%の高い伸び、「商業動態統計」の小売業販売額指数(実質)が前期比0.2%と4四半期連続の上昇となったほか、「家計調査」の消費水準指数(除く住居等)も前期比1.2%と1-3月期の同0.2%から伸びが大きく加速した。
・民間設備投資~企業収益の改善を背景に増加基調が続く
民間設備投資は前期比1.0%と3四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷(除く輸送機械)は2017年1-3月期の前期比▲2.0%の後、4-6月期は同3.8%と2四半期ぶりの増加となった。一方、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2017年1-3月期に前期比▲1.4%と3四半期ぶりの減少となった後、4、5月の平均は1-3月期を▲3.5%下回っている。
日銀短観2017年6月調査では、2017年度の設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地投資額)が前年度比6.8%(全規模・全産業)となり、前年同時期の前年度比4.3%(2016年6月調査の2016年度計画)を上回り、6月調査としては直近10年間で最も高い伸びとなっている。海外経済の回復や円高の一巡に伴う企業収益の改善を受けて、2017年度の設備投資は回復の動きがより明確となる可能性が高い。
民間設備投資は前期比1.0%と3四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷(除く輸送機械)は2017年1-3月期の前期比▲2.0%の後、4-6月期は同3.8%と2四半期ぶりの増加となった。一方、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2017年1-3月期に前期比▲1.4%と3四半期ぶりの減少となった後、4、5月の平均は1-3月期を▲3.5%下回っている。
日銀短観2017年6月調査では、2017年度の設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地投資額)が前年度比6.8%(全規模・全産業)となり、前年同時期の前年度比4.3%(2016年6月調査の2016年度計画)を上回り、6月調査としては直近10年間で最も高い伸びとなっている。海外経済の回復や円高の一巡に伴う企業収益の改善を受けて、2017年度の設備投資は回復の動きがより明確となる可能性が高い。

公的固定資本形成は、2016年度補正予算の効果から前期比2.9%の高い伸びになると予測する。
公共工事の先行指標である公共工事請負金額は2017年1-3月期に前年比9.9%の大幅増加となった後、4-6月期も同2.6%の増加となった。一方、公共工事の進捗を反映する公共工事出来高(建設総合統計)は2015年10-12月期から2017年1-3月期まで6四半期連続の減少となったが、2017年4、5月の平均は前年比8.3%の大幅増加となっている。
なお、建設総合統計は2017年4月から新推計に移行しているため、2017年4月以降の前年比は新推計に基づく参考数値との比較である。

外需寄与度は前期比▲0.2%のマイナスを予測する。2016年度後半の高い伸びの反動もあって財貨・サービスの輸出が前期比0.1%とほぼ横ばいにとどまる中、国内需要の堅調を反映し、財貨・サービスの輸入が前期比1.1%と3四半期連続で増加したため、外需が4四半期ぶりに成長率の押し下げ要因となった。
4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比4.7%(1-3月期:同▲1.9%)、EU向けが前期比3.5%(1-3月期:同1.3%)、アジア向けが前期比▲3.5%(1-3月期:同3.0%)、全体では前期比▲0.3%(1-3月期:同1.5%)となった。米国向け、EU向けは高めの伸びとなったが、好調を続けてきたアジア向けが大きく落ち込んだ。
4-6月期の輸出が横ばいにとどまったのは1-3月期までの高い伸びの反動もあり、基調としては底堅さを維持していると判断される。ただし、これまで輸出の牽引役となってきたIT関連に一服感がみられることなどから、回復ペースはやや鈍化している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年07月31日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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